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西武・辻監督の悩み「打線は何とかなりそうだけどピッチャーが……」

文春野球コラム オープン戦2018

2018/02/28
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チームの一番の課題は投手陣の立て直し

 辻発彦監督の2年目。昨季は「大方の予想を裏切って」の2位だったので、今季はさらに上を目指すのは当然のことだ。目標を高く持った選手の中でひと際元気な声を張り上げ目立っていたのが高卒4年目の山田遥楓。A班スタートは初めてだが、並みいる諸先輩に遠慮せず元気一杯。昨年の「声出し王」の山川穂高の声が霞んでしまうほど。辻監督と同郷というのも山田にとっては「遠慮」の文字を吹き飛ばす一因でもあったようだ。潮崎2軍監督も「アイツ(山田)の元気ぶりは“特技”だから」と評している。

 FAで野上亮磨が巨人に、ポスティングで牧田和久がパドレスに移籍し、投手陣の立て直しが一番のチーム課題だ。6人必要な先発組は、昨年最多勝、最優秀防御率の2冠の菊池雄星を筆頭に十亀剣、ブライアン・ウルフと3人まではスラッと挙がるが、その後が厳しい状況になっている。新外国人のファビオ・カスティーヨや人的補償で巨人から移籍の高木勇人、昨年6勝の岡本洋介、昨季は期待外れに終わった多和田真三郎や高橋光成らがオープン戦で結果を出してくれることが求められる。また、昨季まで中継ぎ専門だった武隈祥太が先発に回るプランも浮上している。

ブルペンでの辻監督と西口投手コーチ 左はウルフ、右は高橋朋 ©中川充四郎

 中継ぎ陣ではケガから復帰した高橋朋己への期待が高い。かつては抑えの経験もあり、空振りの取れるストレートが健在ならば心強い。この位置は若手投手にとってチャンスの場。どんな投手が出てくるかも楽しみだ。抑えは、昨年まで2年連続28セーブの増田達至で決まりだろう。ブルペンでは他の投手と比べても「タマの強さ」は格別。あとは、タテに落ちるスライダーの精度アップでセーブの数を増やしてもらいたい。

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 野手に目を転じると、投手と比較して層の厚さを感じる。とくに捕手と外野だ。昨年、ケガでシーズンほとんどを棒に振った森友哉が元気。打撃開花の炭谷銀仁朗、明るいキャラクターで投手の信頼を得ている岡田雅利との争いに目が離せない。外野も秋山翔吾以外は競争中だ。ジャパンで活躍した外崎修汰、守備の安定感抜群の木村文紀、俊足の金子侑司の「背番号替えトリオ」にベテランの栗山巧、そして久々に西武のユニホームに袖を通した兼任コーチの松井稼頭央も左翼の位置を狙っている。

西武のユニホームがピッタリの「7」松井稼頭央 ©中川充四郎

 打順は決まっていないが、中心を任される中村剛也、エルネスト・メヒアは共に昨年の終盤は精彩を欠いた。ここに割って入った山川穂高と3人並べばかなり豪華になる。ただ、守備位置がかぶる面もあるので、辻監督の悩みどころ。これから始まるオープン戦での見極めが大事になるが、開幕直前まで激しい定位置争いが続く。「打線は何とかなりそうだけど、ピッチャーがなぁ」(辻監督)

ブルペンで投球練習を見つめる辻監督 ©中川充四郎

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