西武の春季キャンプは、A班、B班と呼称して振り分けられる。これは、この時期は1軍、2軍が決まっていないので「やわらかい表現に」との球団の方針からのもの。今年はA班が39選手(投手21、野手18)、B班が29選手(投手15、野手14)で宮崎・南郷、高知・春野でそれぞれスタートした。例年、何人かの選手の入れ替えを行うのが通例だが、今年はB班にインフルエンザが蔓延したため見送られた。
「ウイルス」にアピールを妨害されたB班メンバー
B班組で「インフルエンザ陽性」と診断されたのは6名だったが、発熱し「陰性」と診断されても病院側から「陽性扱いしてください」とのことで、10名を超えるコーチ、選手が隔離生活を余儀なくされた。これで苦労したのがマネージャー。隔離生活者にはバス、トイレ付きの部屋が条件で、B班宿舎には該当する部屋が少なく、回復した選手の出入り、やりくりで頭を痛めたという。
最近はクスリの即効性が高く、1、2日で熱が治まるそうだ。しかし、医師からの「共同生活OK」の許可が出るのが4、5日後。なので、寝込んでいるわけでもなく、隔離生活はかなり退屈。B班宿舎はサブグラウンドに面しているため、じっと眺めることで「参加意識」を持ったようだ。
また、シーズン中はチームに同行することがほとんどないスカウト陣も、この春季キャンプにルーキー視察の目的で参加している。そのため、毎年第2クール終了時点でA班、B班担当が入れ替わるのが、インフルエンザ禍で今年は取りやめ。高知に自宅を構える渡辺智男スカウトはB班担当からスタートしたが「一カ月も自宅通勤。気分転換が必要ですよ」と渋い表情で話していた。でも、選手たちは自宅に帰りたくても帰れないので、これは贅沢というもの。
A班は2月18日に南郷を打ち上げ、翌日高知に移動。当初は居残りのB班との合同練習を予定していたが、これも見送られた。若手主体のB班メンバーにとって絶好のアピールの機会も「ウイルス」に妨害された形になった。しかし、大したケガ人が出なかったのが救いで、B班打ち上げに合わせ数名の入れ替えが決まった。チャンスをつかんでもらいたい。