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楽天ルーキー西巻賢二 ダジャレで梨田イズムを継承

文春野球コラム オープン戦2018

思い出される15年夏の甲子園

 ふと2015年夏の甲子園、東海大相模vs仙台育英の決勝戦を思い出した。3点ビハインドで迎えた6回裏仙台育英の攻撃、1死1塁で佐々木柊野キャプテンの代打で出場したのが当時1年生の西巻選手だった。6回表に大ファインプレーでチームを救っていたキャプテンを代えてまで出てきた小さな1年生は小笠原慎之介投手(現中日ドラゴンズ)から見事にレフト前ヒットを放ち、同点に追いつく足がかりを作った。決勝戦のあの場面で、このあいだまで中学生だった少年が堂々と結果を残す。やはりあの頃から只者ではなかったのだ。

 そんな西巻選手に試合後話を聞けた。

かみじょう「お疲れ様でした。初の対外試合緊張は?」

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西巻「まぁ少しは……ここ金武町(キンチョウ)なんで」

か「あれ、すでに梨田イズム?」

西「すみません(笑)」

か「ナイスバッティングでしたね」

西「はい、打ててよかったです。ただ僕の売りは守備なので、そっちを確実にやるだけです」

か「スローイングが素晴らしいと思いました」

西「そこを観てくれるのは嬉しいです」

か「身体は小さいけどバット長く持つよね?」

西「昔からそうなんで」

か「渡辺直人さんの様な短く持ってミートするいい手本もあると思いますが、その辺りは考えたりしますか?」

西「このスタイルでプロ野球選手になったので、今は変える段階ではないと思ってて、色んな壁にあたった時に色々試していければと」

か「高校野球との一番の違いは?」

西「やっぱりピッチャーの球のキレです。同じ140キロでも高校野球とは全く違います」

か「でも今日は2安打やね」

西「たまたまです(笑)」

か「この調子でケガせず頑張ってください!」

西「ありがとうございます!」

 とても18歳とは思えないしっかりした受け答えだった。プロ野球選手として自分がこれからやるべき事がしっかり見えている、自分の立ち位置が明確にわかっているのだろうなぁと強く感じた。塩川達也コーチは自分が入団した時を考えると信じられないほどの落ち着きとしっかり自分の実力を一軍でもアピールできる所が凄い、そしてできなかった事が出来るようになるまでのスピードが尋常じゃなく早い、とも。たしかに既に梨田監督ばりのダジャレまで会得していた事にもちょっと驚いた。今シーズン、西巻賢二の活躍に期待したい。

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