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高谷が離脱……捕手難のソフトバンクを救うのは誰だ

文春野球コラム オープン戦2018

2018/03/02
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育成からニューヒーロー誕生も?

 2016年7月に支配下登録を勝ち取った張本優大捕手にも、このチャンスをつかんで欲しい! 2013年育成ドラフト4位入団から、黙々と努力を積み重ねてきた苦労人。同じ育成出身で2つ年下の甲斐捕手の快進撃を横目に燃えている選手の一人です。

 張本捕手が支配下登録された時、その理由として上げられたのが、怪我の多いポジションながら、怪我なくたくさん成長してきた努力と身体の強さ。そして“人柄”でした。結果の世界と言われるプロ野球で、球団から大いに人間力を評価する言葉が送られていたのには良い意味で驚きました。捕手にとって大事な“信頼”と、みんなに愛されるという最強の武器を持っている張本捕手。存在感ある積極的な声掛けも、このチャンスをつかむのに必要な武器。吉鶴バッテリーコーチは言っていました。「声だけでも1軍にいられるかもしれない」と。そういう意味では、張本捕手の猛烈アピールをもう1頂、魅せて欲しい。

 的山コーチは、甲斐捕手のことを“ウサギとカメのカメタイプ”と話していました。その甲斐捕手を引き合いに出し、「カメより遅いけど、コツコツ頑張っている」のは、育成4年目の堀内汰門捕手。

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 一昨年オフから攝津投手のグアム自主トレに同行し、1軍投手の球を受けたり、打撃投手を務めてもらったりと育成ながら貴重な経験を積んできました。攝津投手も「汰門は頑張り屋さんなので、すごく良い選手になると思いますよ」と取り組む姿勢を認めています。一昨年の秋、達川ヘッドコーチに掛けられた「チャンスはあるぞ」の言葉を励みに、健気に頑張ってきた堀内捕手。昨季、栗原捕手が1軍初出場した時、同期の飛躍に祝砲を送りつつも、悔しさを噛みしめ、それを力に変えてきました。栗原捕手が帰ってきた時に、より切磋琢磨できる存在に一気に成長するんだ! そして、何より支配下登録を勝ち取るチャンスは今だ! ウサギもカメも追い越す快進撃を楽しみにしています。

 そして、育成3年目の樋越優一捕手も忘れちゃいけません! グラウンドに響き渡る声が聞こえたら、それはおそらく樋越捕手! 東京農業大学北海道オホーツクから「自分は大卒だから時間がない」と危機感を抱きながら入団。捕手が多すぎて、なかなか捕手として試合に出られないときでも、グラウンドでの元気は絶やしません。首脳陣やチームメイト、特に外国人選手とのコミュニケーション力は長けており、面白い可能性を秘めているのではないかと期待しています。

 ケガ人続出に心配が残るまま、春季キャンプを打ち上げ、これからオープン戦に突入します。しかし、ピンチとチャンスは同時にやってくるもの。今こそ、もう1頂ももう2頂も、全力猛烈なアピールに燃えて欲しい! ファームで、常に全力で健気な捕手陣を見てきたからこそ、若干(いや、とても?)贔屓目にはなってしまいましたが、ニューヒーローの覚醒を心待ちにします。とはいえ、高谷、栗原両捕手のいち早い復帰を祈り、さらに激しく熱い捕手争いに期待します!

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