先月18日、東京目黒区の自宅で両親とともに倒れているのが見つかった歌舞伎俳優の市川猿之助容疑者(本名・喜熨斗孝彦、47)を警視庁は、死亡した両親のうち母親の自殺を手助けしたとして自殺ほう助の疑いで逮捕した。

 猿之助容疑者は取り調べに「3人で死んで生まれ変わろうと話し合い、両親が睡眠薬を飲んだ」という趣旨の説明をしており、警視庁は都内の病院に入院した本人から事情を聴くなど捜査を進めていた。

 歌舞伎界の大スターをめぐる悲劇はなぜ起きてしまったのか。猿之助容疑者が“最愛の人”に残した遺書の中身などを詳報した当時の記事を再公開する。(初出:2023年5月20日。年齢、肩書は当時のまま)

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 歌舞伎界きってのトップスター市川猿之助さん(47)が自宅から救急搬送され、父親の段四郎さん(76)と母親(75)が死亡した、日本の歌舞伎界を揺るがす大事件。事件発覚当時、多くの謎からさまざまな憶測が飛び交ったが、捜査の進展や、猿之助さんが回復したことから、事情が少しずつ明らかになってきた。社会部記者が解説する。

猿之助さん

「死んで生まれ変わろうと家族で話し合い、両親が睡眠薬を飲んだ」

「司法解剖の結果、両親の死因は、向精神薬を大量に摂取したことによる薬物中毒とみられています。また猿之助さんは事件当初、受け答えをするのも難しい状態でしたが、今では体調が回復し病院を退院。事件に至った経緯を語り始めています。

 まだ全容がハッキリしたわけではありませんが、猿之助さんは『死んで生まれ変わろうと家族で話し合い、両親が睡眠薬を飲んだ』といった趣旨の発言をしているようです。『女性セブン』で猿之助さんの共演者やスタッフへのパワハラ・セクハラ疑惑が報じられたばかりで、その内容や対応を家族で話し合ったものとみられます。

猿之助襲名に向けて記者会見した亀治郎さん(当時)。(左から)香川照之さん、香川政明君、市川猿之助さん、市川亀治郎さん、市川段四郎さん ©️共同通信社

 ただ、こうした発言内容から一家心中との見方がある一方、『両親が睡眠薬を飲んだ』という発言が、両親が自らの意思で飲んだことを指すのか、猿之助さんが飲ませたのか、そもそも誰が持ちかけて心中に至ったのかなど詳細はまだわかっていません。警察は今後も慎重に捜査していく方針です」

 猿之助さんは亡くなった両親と3人暮らしで、閉ざされた“家族会議”のなかでどのようなやり取りが交わされたのか、真相の解明は困難極まると予想される。猿之助さんが、罪に問われる可能性はあるのか。犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、「“家族会議”の中身次第でシナリオは大きく変わっていく」と解説する。