先月18日、東京目黒区の自宅で両親とともに倒れているのが見つかった歌舞伎俳優の市川猿之助容疑者(本名・喜熨斗孝彦、47)を警視庁は、死亡した両親のうち母親の自殺を手助けしたとして自殺ほう助の疑いで逮捕した。
猿之助容疑者は取り調べに「3人で死んで生まれ変わろうと話し合い、両親が睡眠薬を飲んだ」という趣旨の説明をしており、警視庁は都内の病院に入院した本人から事情を聴くなど捜査を進めていた。
歌舞伎界の大スターをめぐる悲劇はなぜ起きてしまったのか。猿之助容疑者が“最愛の人”に残した遺書の中身などを詳報した当時の記事を再公開する。(初出:2023年5月18日。年齢、肩書は当時のまま)
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18日午前10時18分、東京都目黒区にある歌舞伎役者の市川猿之助さん(47)の自宅で、本人と両親2人が倒れているのを、猿之助さんの男性マネージャーが発見し、119番通報した。救急隊がかけつけたところ、猿之助さんは自宅の半地下で意識がもうろうとした状態だった。搬送時は意識があったという。
一方、猿之助さんの父親である段四郎さん(76)と母親(75)は死亡が確認された。人気歌舞伎役者の身に突然、何が起こったのか。社会部記者が語る。
猿之助さんの本名名義で〈M〉に宛てられた遺書
「段四郎さんは2階のリビングで仰向けで倒れており、病院に搬送されましたが、死亡しました。母親も同じく2階のリビングで倒れており、その場で死亡が確認されています。2人とも寝ていた様子だったといいます。
自宅からは〈M〉という宛名(※イニシャル。実際には知人と見られる人物の名前)で、〈たかひこ〉と猿之助さんの本名名義で書かれた“遺書”が見つかっています。3人とも目立った外傷はなかったことなどから、警視庁は猿之助さんが心中を図った可能性もあるとみて捜査を進めています」
猿之助さんは2012年におじの名跡を継いで、「四代目 市川猿之助」を襲名。高い演技力に裏打ちされた歌舞伎界屈指の実力派だ。市川猿翁さん(83)が確立した「スーパー歌舞伎」を受け継ぎ、大人気アニメ「ONE PIECE」を舞台化するなど歌舞伎界をリードし続けてきた。2020年にはドラマ「半沢直樹」で、伊佐山泰二役を務め、「詫びろ、詫びろ、詫びろ……」と8連発するシーンなどが話題となり、お茶の間の人気を集めていた。