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「“死にたい”と他人に言うような人は実際には自殺しない」と言うけれど…Twitterで自殺をほのめかす人を放置してはいけない理由

『「死にたい」と言われたら 自殺の心理学』 #2

2023/07/03
note

真剣に自殺を考えている人の割合は…

 この問題については、私は、実際に調査をしたことがあります(詳細が気になる人は、Google Scholar という検索エンジンで「sueki suicide twitter」と検索してみましょう。全文の内容を無料で読むことが可能です)。

 Twitterで「死にたい」とか「自殺したい」とか、そういうことをつぶやいている人はどういう人なのだろうか?という調査です。実際に、Twitterで「死にたい」とか「自殺したい」とかつぶやいている人と、そうではない人(Twitterなんかやっていないとか、Twitterはやっているけどそんなことはつぶやいていない人)を比較すると、Twitterで「死にたい」とか「自殺したい」とかつぶやいている人は、過去に自殺企図をしたことがある人が多く、自殺の計画をしており、自殺念慮を抱いていて、自傷経験があり、抑うつ度が高く、精神科に通った経験があり、アルコールを飲む頻度が高いようでした。自殺の危険因子のオンパレードという状態です。

 Twitterで「死にたい」とか「自殺したい」とかつぶやいている人が、これまでの人生で自殺したいと真剣に考えた割合は7割程度でしたので、一般人口での2~3割という調査結果と比較するとかなり高いことが分かります。一方で、10割ではないので、冗談のように(つまり、自分自身が本当に死にたいと思っているわけではなく)「死にたい」とつぶやいている人も一定の割合でいるということです。

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「「死にたい」と他人に言うような人は実際には自殺しない」という話があります。一方で、自殺に関する専門家や識者が、そんなことはなく、それは神話であって、実際には自殺するのだと言う場面を目にすることもよくあります。上記のような調査を総合して考えると、これらはどちらも正しく、一方でどちらも十分には正しくないと言うことができます。