ダルビッシュと大谷の共通点とは? この2人とプレーしてきた元チームメイトのインタビューを、アメリカの一流ジャーナリストであるジェイ・パリス氏の『大谷翔平 二刀流メジャーリーガー誕生の軌跡』より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)
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打つ直前に視界から消えるトリッキーなスプリットも大谷の持ち味だ。
「彼のスプリットなんて、正直どうすれば打てるのかわからないんだ」
タイガースの外野手ニコラス・カステヤノスはそう話した。
「とにかく当たれと願いながら、力一杯振るしかない」
大谷のスプリットはメジャーリーグでもっとも打ちにくい球の一つとなっていた。8回の先発登板で157球のスプリットを投げ、許した安打はたったの1本。対戦打者の44人は誰もが、打席の最後にスプリットを投げられている。空振り率61%という驚異のスプリットは、メジャーリーグ史上2番目の記録となる。
「パワフルな投球の持ち主だ」
カステヤノスは言った。
「あんなスプリットやスライダーを持ちながら、いつでも160kmを投げられる選手がメジャーにやってくるなんてね。ジャスティン・ヴァーランダー級の大物だよ」
チームメイトが見たダルビッシュと大谷
2塁手のイアン・キンズラーはメジャーリーグで13年のキャリアを持つ経験豊富な選手だ。そんな彼の経歴の中でも興味深いのは、二人の日本人スター選手のメジャーデビューを見守ってきたことだった。ダルビッシュ有、そして大谷翔平だ。
エンゼルスからボストン・レッドソックスに移籍したキンズラーだが、テキサス・レンジャーズ時代にダルビッシュと共にプレーし、エンゼルスでは大谷のチームメイトだった。
ダルビッシュと大谷が同じ国の出身であり、北海道日本ハムファイターズで同じ背番号11番をつけていたとはいえ、同じ型から出てきた人形のように似ているわけではないだろう。
しかし、「そうとも言い切れない」とキンズラーは言う。「動きの滑らかさや技術面では、似ている部分も多少ある。だが、ダルビッシュはメジャーに来たとき、もっと年齢が上(当時25歳)だった。完成された選手だったのかどうかは確かでないが、翔平よりも経験を積んでいたことは間違いない。それでも異なる選手だし、異なるメンタルに異なる性格を持っている。共通点といえば、優れた才能を持ち、鳴り物入りで日本からやって来たことだろう」