どうなるんだろう、平昌(ピョンチャン)五輪。そう案じていたのは、私だけでは、ないだろう。

 ニュース番組では、まず冒頭でキナ臭い国際情勢が報じられる。深刻な顔をして現地の特派員や記者とやりとりをしていたスタジオのアナウンサーが、さらに厳しい表情でコーナーを締める。

 ここで一、二秒の深呼吸があってのち、満面の笑みを浮かべ「さあ、きょうも平昌は盛り上がってますね。日本選手の活躍を見ていきましょう」と声を張りあげる。

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 いや、わかります。北朝鮮の奇策に翻弄される韓・日・米の対応や、いかに。情報番組なら、まず、これを最初にもってこざるを得ない。だけど人間、心の切り換えは難かしい。たった一秒後に「日本選手、きょうもやってくれました!」では、見ているほうも落ちつかない。

 五輪も順調に推移してきたかなと思った矢先、やらかしてくれた人もいたし。金メダルとった小平奈緒選手に「まるで獣のような滑り」とマイクを向けた男性アナだ。

 聞いた瞬間、心がざわざわした。日本語のセンスがない人が、金メダル選手に代表質問とは。資格チェックしたのかよ。「獣かどうかはわからないですが」とサラリかわした小平さん、お見事。後で質問者がTBSの石井大裕(ともひろ)アナと知って、納得した。

 ともかく異様なまでに気が強い。「あさチャン!」スタート時も、夏目三久に攻撃的な言葉を投げつけていた。

 ま、いろいろあった平昌五輪だけど、カーリング女子の一挙手一投足が、五輪にまつわるあれやこれやを、すべて吹き飛ばしてくれた。

本番の顔は真剣そのものだ ©JMPA

 そだねー。氷上の作戦タイムで、四人の口から発せられる「そだねー」が、日本中の心を和ませた。私は“泣ける話”とか“いい話”って苦手だけれど、彼女たちの氷上ミーティングで飛び交う「そだねー」には心つかまれた。

 もちろん「給湯室の女子トークみたいで嫌い」といった反発も僅かながらネット上にある。でもね、ここまで何度も苦汁をなめてきた選手たちが、給湯室トークのノリで意見交換して、強豪相手に善戦する。これって、すごくないかい?

 札幌の友人が「こちらではみんな驚いてるんです。“そだねー”が北海道のナマリって、誰も自覚してなくて」。北見市常呂(ところ)出身の彼女たちもかわいいけど、自分たちが口にする“そだねー”の威力に気づかなかった北海道民の性格も、いいんでないかい。

▼『平昌オリンピック』カーリング女子予選
NHK総合 2月21日放送