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ソフトバンクの反転攻勢

 昨年11月の決算説明会を最後に表舞台から姿を消したソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長が、6月下旬の株主総会で約半年ぶりに登場した。

孫正義氏 ©時事通信社

 SBGの2022年度業績は、世界的な株価下落を受けてソフトバンク・ビジョン・ファンド事業が5兆円以上の投資損失を出すなど散々だった。それだけに孫氏の発言に注目が集まったが、同氏は「守りは十分にできた。反転攻勢だ」と述べ、傘下の英半導体設計大手アーム(レネ・ハースCEO)を軸にAI事業を中核に据える考えを強調した。だが、反転攻勢の好材料はなかなか見当たらず、不安材料も少なくない。

 その一つが後継者問題だ。かねてより60代で後継者にバトンタッチすると表明していた孫氏は今年8月に66歳を迎える。だが、後継者は見当たらない。

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 14年にグーグル幹部のニケシュ・アローラ氏を後継者として招聘したものの、同氏は2年後の16年に副社長を退任。ニケシュ氏は孫氏がトップの座を譲らないことにしびれを切らしたという。

 ビジョン・ファンド事業の中心的人物だった元ドイツ銀行幹部のラジーブ・ミスラ氏、アメリカ携帯子会社の再建などを担ったマルセロ・クラウレ氏、元ゆうちょ銀行幹部だった佐護勝紀氏。この3人の副社長も後継候補と報じられたが、この1〜2年でSBGを去った。

 内部昇格の芽もなさそうだ。期待されたZホールディングス会長で48歳の川邊健太郎氏は、傘下のヤフー(小澤隆生社長CEO)、LINE(出澤剛社長CEO)で経営統合の成果を出せず、今回の総会でSBG取締役を退いた。

 もう一つの懸念材料は、手掛けるビジネスの先行きが見通せないことだ。

丸の内コンフィデンシャル」全文は、「文藝春秋」2023年8月号と、「文藝春秋 電子版」に掲載されている。