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歯がなくても「おっさん」たちはよく笑っていた…長距離トラックドライバーが歯を失いやすい「切ない理由」

source : 提携メディア

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24時間の道路上生活

長距離ドライバーの仕事は、文字通り「長距離を走り荷物を運ぶ」こと。そのため、日帰りできる運行はほとんどない(というか、日帰りできる運行は長距離とは言わない)。

時には1週間、長い人だと2週間もの間家に帰らず車内で過ごす。たまたま日数の短い運行で地元に帰ってきたとしても、「家に帰ったらもう仕事に出たくなくなる」と、会社の仮眠室で過ごしてそのまま次の運行に出るという人も少なくない。

ご存じの方もいるかもしれないが、長距離を走るトラックのほとんどには、運転席の後ろに大人1人が横になれる広さの「寝台」がついている。そこで毎日車中泊しながら、全国各地を回るのだ。

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トイレや風呂などは無論車内にはない。トイレはコンビニ、風呂はSAPAのコインシャワーか、ガソリンスタンドが無料で開放してくれているシャワールームを使うことが多い。

世間は、「家にも帰れずひとりで大変だろうに」と感じるかもしれない。想像通り、その生活は非常に過酷だ。

しかし、長年長距離を走っているドライバーらは、そんな生活を楽しんでいる人がほとんど。というか、そういう生活を楽しいと思える人じゃないと、この仕事は続かない。

実際、ドライバーからは「時間さえ守ればひとりで気ままに仕事ができる」「旅行気分で仕事ができる」「天職だと思っている」との声がよく聞かれる。

トラックドライバーの楽しみは“ご当地飯”

彼らがトラックドライバーを「天職」とする理由で、一番多い答えが「食事」だ。

日ごろから仲良くしているドライバーのなかには、先週まで関西にいたのに今週は東北、来週は九州に行く生粋の長距離ドライバーが多くいるのだが、彼らの楽しみもやはりご当地飯。「都内で産地直送の新鮮な食べ物が食べられる時代ですけど、本場の味には勝てないっすよ」と口を揃える。“産地直送”をその手で担っているドライバーが言うんだから間違いない。

ただ、無論毎食そんな贅沢ができるというわけでもない。毎日3食の食事に数千円も掛けてられないし、給料が安いドライバーであれば日々節約しながら走らねばならない。飲食店に大型車専用の駐車場がなかったりすると、やはり食事はコンビニ飯やファストフード、キャビンにストックしてあるインスタントの食料に頼りがちになる。