きょう3月7日は、俳優の長谷川博己の誕生日だ。1977(昭和52)年東京生まれの41歳。大学時代、劇団をやっている友人から頼まれ、舞台に代役として出演したのをきっかけに演技に目覚める。俳優としての転機は、文学座に所属していた2005(平成17)年に『KITCHEN』に出演して以来、蜷川幸雄演出の舞台にあいついで起用されたことだ。ここから映像関係者にも注目され、ドラマや映画に出演するようになる。2010年代に入って出演した映像作品は、ドラマ『セカンドバージン』(10年)、『鈴木先生』(11年)、『家政婦のミタ』(同)、『小さな巨人』(17年)、映画『地獄でなぜ悪い』(13年)、『この国の空』(15年)、『シン・ゴジラ』(16年)など枚挙にいとまがない。
蜷川幸雄の舞台に出演し始めたころ、初めてテーラーに行き、スーツを仕立てた。以来、たびたびその店でスーツをつくってもらっているという。主人と色々と話しながら、1着の服ができあがっていく過程に立ち会うのが何より楽しいようだ。あるインタビューでは、《この服はこういう場面で着たいとか、見た人はどう思うかとか想像するのは、芝居に通じる気もしました。/とにかく僕は、ものを作る現場が好きなんです》と語っている(『婦人公論』2015年7月14日号)。
ものをつくる過程が好きな長谷川にとって、蜷川をはじめ常に新しい表現を求める演出家や映画監督の現場はまさに打ってつけであっただろう。昨年は、学生時代からファンだった黒沢清監督の『散歩する侵略者』に出演。このときも、黒沢から撮影前に《「今までの僕の作品はすべて忘れてください」と言われ》《ああ、監督はきっと新しい何かを作り出そうとされているんだなと、そのことにすごく興奮した》という(『文學界』2017年10月号)。
先月には、今秋放送開始のNHKの連続テレビ小説『まんぷく』で、安藤サクラ演じるヒロインの夫役を務めることが発表された。やはり演技派として評価の高い安藤とどんなドラマをつくり出すのか、いまから楽しみだ。