整いつつあった対マネロンの網に暴力団がひっかかった
警察庁の昨年の統計によれば、マネロンの疑いがある金融取引の届け出は、過去最多の58万件あまり。一方、今回の事件と同じ犯罪収益の収受の適用件数はわずか18件で、ここ10年で最少だった。この状況を手厳しく批判してきたのがマネロンへの対応を審査する国際組織「FATF」(金融活動作業部会)だ。
「つい何年か前まで一部の国内の銀行では、本人確認を徹底するどころか飼い犬名義の口座、通称『ポチ口座』の開設まで認めるザル運用が続いていた。FATFの批判を受けて犯罪収益移転防止法や組織犯罪処罰法が昨年改正され、犯罪収益の収受も懲役3年以下から7年以下に厳罰化されたばかりだった」(金融関係者)
ようやく整いつつあった対マネロンの網に暴力団がひっかかったというわけだ。ただ、今回の捜査が奏功したのは偶然や相手のミスによる部分も大きいようだ。捜査関係者が打ち明ける。
「今回、金井容疑者がみかじめ料を取っていたカジノグループは全国に支店がある最大手。所帯が大きい分、内輪のトラブルも多い。実はこのグループから売り上げを持ち逃げした男が昨年8月、グループ幹部に捕まり、監禁された上で死亡していた。その事件の捜査の過程で大規模なカジノグループの存在が発覚した」
死人まで出たこのグループの直近5年間の売り上げは7億円弱だったという。