昨年、「週刊文春」が報じた政治とカネの問題をきっかけに辞任した寺田稔・前総務大臣(65)。7月14日、寺田前大臣の運動員買収の疑いを巡り、東京地検特捜部が報酬をもらったとされる市議らを任意で事情聴取していたことが報じられた。
「週刊文春」では昨年、妻の政治団体による脱税疑惑を皮切りに、関係政治団体が故人を会計責任者にしていた事実など、寺田総務相の問題を毎週報じてきた。一連の報道を再公開する(初出:週刊文春 2022年10月13日号 年齢・肩書きは公開時のまま)。
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寺田稔総務相(64)の妻が代表を務める政治団体が、地元秘書ら事務所スタッフへの報酬支払いを巡り、源泉徴収をしておらず、長年にわたって“脱税”状態になっていたことが「週刊文春」の取材でわかった。大臣秘書官が認めた。
活動形跡がない政治団体が、ほぼ毎年約500万円を人件費として支出
寺田氏は岸田文雄首相と同じ広島県が地盤で、岸田派(宏池会)に所属。現在当選6回で、今年8月の内閣改造で初入閣を果たした。
「東大法学部から旧大蔵省に進んだエリートで、妻・慶子氏の祖父は宏池会の創設者・池田勇人元首相です。2004年4月、慶子氏の叔父にあたる池田行彦元外相の死去に伴う衆院補選(広島5区)で初当選。派閥本流の経歴で、岸田首相の“右腕”と呼べる人物です」(地元記者)
問題の政治団体は、2004年3月に設立された「以正会」。慶子氏は同年5月から代表を務めている。所在地は、東京都千代田区にある寺田氏の自宅だ。
2015年以降の「以正会」の収支報告書によれば、収入は毎年約600万円。その大半を、寺田氏の資金管理団体「みのる会」からの寄附に頼っている。一方、支出は、コピー機リース料や新聞代などが毎年数十万円程度で、光熱費はゼロで推移。そんな中、人件費としてほぼ毎年約500万円を支出してきた。 ただ、慶子氏が政治活動をしている形跡はない。一体、「以正会」は何のための政治団体で、誰に人件費を支出しているのか。