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「巨大な権力に屈している」ジャニー喜多川氏性加害問題をめぐり松尾潔氏が山下達郎に反論「達郎さんが印象操作を…」

「巨大な権力に屈している」ジャニー喜多川氏性加害問題をめぐり松尾潔氏が山下達郎に反論「達郎さんが印象操作を…」

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山下が繰り返し語ったジャニー喜多川氏への「ご縁とご恩」

「達郎さんのゲスト出演回は大好評で、ネットには書き起こし記事が残っているほどですが、今となっては興味深いやりとりもありました。アメリカ黒人音楽界のスーパースター、R・ケリーの話です。

 2019年の時点で、R・ケリーは未成年レイプや女性への性的虐待で音楽界やメディアから追放され、全米の公共電波で彼の音楽を聴く機会はほとんどなくなっていました(昨年、禁固30年の判決)。ですが達郎さんは番組の中で彼の曲をかけたいと。事件をご存じないのかと思い、私は『いまアメリカのラジオではかけちゃいけない人になっていますよ』と制止を試みました。

 ですが達郎さんは『作品に罪はない』と自説を曲げないので、私は忸怩たる思いのまま結局オンエアすることに。普段の番組のスタンスを知るリスナーからはオンエアへの驚きの声があがったので、よく覚えています。

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 達郎さんは放送の中でも『(R・ケリーは)才能はありますよね』と言っていましたから、アートの天才には免責特権があるという才能至上主義は、その頃から一貫しているわけです。ただ現代は、いい音楽だけ作っていれば良い時代ではない。達郎さんの考え方はジャニー氏の性加害に今も苦しんでいる被害者がいる現実から目を背け、なかったことにしかねません」

ジャニー喜多川氏

 また7月9日の放送で、山下が繰り返し語ったのが、ジャニー喜多川氏への「ご縁とご恩」だった。

「達郎さんの主張は一定の説得力を感じます。ただし、『ご縁とご恩』は社会的公平さの上で成り立つもの。性加害問題に目を背けてきた達郎さんとジャニーズ事務所のご縁とご恩は、ビジネス上の『貸し借り』に過ぎぬという謗りを免れないのでは。

 偉大なミュージシャンも芸能界の巨大な権力に屈している状況がしみじみと分かり、近くにいた身としても、いちファンとしても胸が痛みます」

 7月19日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および7月20日(木)発売の「週刊文春」では、「山下達郎とジャニー一族 20億円の『ご恩と奉公』」と題し、山下とジャニー一族の関係に迫る。また山下と女性マンガ家との密会、山下と竹内まりや夫妻のメリー氏のハワイ別荘訪問、また大物ミュージシャンのジャニーズからのオファー拒否などについて詳報している。

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