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描く放物線、「バット投げ」の美しさ

 打球が描く放物線はもちろん、特筆すべきはスイングの後の【バット投げ】。

【バットフリップ】ともいうそうですが、個人的には【バット投げ】の方がしっくりきますので、この先はこちらを使わせてください。

 澤井廉のバット投げは、すでに日本一だと思います。

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 スイングしきったところから、ほぼ180度反対方向に放り投げられ飛んでいくバット。

 全盛期の福留孝介さんを彷彿とさせるような、綺麗な軌道。

 完全にひとつのアートであり、作品になっているんです。

 この選手はとんでもない才能を秘めている。いや、もうすでに開花し始めているかもしれない。

 そう思った矢先――。

村上宗隆の代わりに一軍昇格、即スタメン

 8月18日、スワローズが誇る稀代のアーチスト、村上宗隆が一軍選手登録を特例抹消されました。

 代わりに一軍登録された澤井廉は6番レフトで即スタメン。髙津臣吾監督の期待を感じる起用。

 ライトスタンドのファンは「待ってました!」とばかりに第一声から、

「ここまで・持ってこい!・澤井!!」

 と大声援を送りました。

 その1打席目、2-1から低めに落ちるボールをすくい上げると打球はライトフェンス際へ。ドラゴンズのライトを守る川越誠司が照明とかぶって打球を見失い、記録は三塁打に。

 なんとも不思議なプロ初ヒットに、ベンチのみんなも笑いながら大喜びしていました。

プロ初安打に大喜びしていた青木宣親

 そのなかでも一番喜んでいたのが、野手最年長で同じ外野手の青木宣親でした。

 そういえば、澤井廉も青木宣親も同じ左バッターで、【なで肩】ですね。

「なで肩の選手の方が名選手になる素質がある。なで肩はいかり肩に比べ腕の可動域が広いので、野球においてはプラスになる」

 というお話を、以前その道のプロの方から聞いた事があります。

 もしかすると、澤井廉は稀代のヒットメーカー、青木宣親の要素も兼ね備えているのかもしれません。

 そういえば、

 上方落語四天王のお一人、故・三代目桂春団治師匠も見事な【なで肩】でした。

 羽織を脱いだ時になんの引っ掛かりもなくストンと後ろに落ちるんです。

 これがものすごくかっこ良くて、粋でした。

 落語においても、なで肩の方が将来名人になる確率が高いのかもしれませんね。

 ちなみに僕、いかり肩でした。

 すみません、話を戻しましょう。

ついに後輩のWBC戦士と対戦が実現も……

 翌8月19日には、中京大中京の2年後輩、ドラゴンズ高橋宏斗との初対戦が早くも実現。

 その1打席目。

 0-2からインハイに来たストレートが右肘に当たり、初対決はまさかのデッドボール。

 高橋宏斗がマウンドを降りてかなり大きな声で澤井廉に「すいません!」と謝っていたのが印象的でした(笑)。

 3打席目にはそのお返しとばかりに、ライトポール際へあわやホームランかという大ファウル。

 一瞬ニヤッとした高橋宏斗。

 これから先、この二人の対戦はますます面白く白熱したものになるでしょう。

間違いなくスワローズを引っ張る男になる

 吉田正尚のような【力強さ】。

 福留孝介のような【しなやかさ】。

 そして、

 青木宣親と同じような【なで肩】。

 これらそれぞれが、澤井廉が学生の時に言っていた

【軸】
【重心】
【脱力】

 に繋がる感じがしませんか?

 しないか(笑)。

 とにもかくにも、東京ヤクルトスワローズ、澤井廉。

 今のところ一軍ではなかなか良い結果が出ていませんが、僕は彼が間違いなくこれからのスワローズを引っ張っていく存在になってくれると信じています。

 頼むぞ! 澤井廉!!

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