最新版・世界各国の「繁栄指数」を見てみると、社会や地域における人々の信頼関係や結びつきを表す「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」のランキングで、日本は全世界149カ国中、101位。先進国の中では最低だといいます。なかでも深刻な状態にあるのが中高年の男性。コミュニケーション戦略の専門家で、『世界一孤独な日本のオジサン』(角川新書)の著者である岡本純子氏が衝撃的なデータとともに、日本のおじさんたちが「孤独」に陥っている理由と健康へのリスクを解説します。
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孤独な人は、早死リスクが50%高くなる
「中高年の男性にとって最大の脅威は喫煙でも肥満でもない。それは孤独だ」(ボストン・グローブ紙)、「慢性的な孤独は現代の伝染病」(フォーチュン誌)――。海外では、「孤独」は健康に甚大な影響を与える最大のリスクである、という認識が急速に広がっている。
その根拠となっているのが、近年、欧米で明らかになった数多くの学術的研究だ。約30万人以上のデータを対象としたアメリカの調査では、「孤独な人は、人的つながりを持つ人に比べて早死リスクが50%高くなる」という結果が出た。また、「孤独」の死亡リスクに対する影響は(1)一日にタバコ15本を吸うことに匹敵、(2) アルコール依存症であることに匹敵、(3) 運動をしないことよりも大きい、(4) 肥満の2倍大きい、と結論づけられた。孤独は心臓病や認知症など多くの疾患のリスクを高めることもわかっている。
昨年10月には、アメリカ連邦政府の前公衆衛生局長官、ビベック・マーシー氏が「孤独は深刻化する伝染病」であり「病気になる人々の共通した病理(病気の原因)は心臓病でも、糖尿病でもない。孤独だった」という論文を発表し、話題を集めた。2018年1月17日には、イギリス政府が、「孤独担当相」を新たに任命すると発表して、世間を驚かせたが、これは、この切実な問題に国を挙げて取り組むべき、という危機意識の表れだった。
日本は世界に冠たる孤独大国になりつつある
こうした流れと逆行するように、日本では、「孤独のすすめ」「おひとりさま」「ぼっち」などと、「孤独」を美化し、奨励する考え方が人気を集めているが、実はその裏で、日本は世界に冠たる孤独大国になりつつある。国際機関OECD(経済協力開発機構)の調査(2005年)によれば、友人、同僚、その他コミュニティの人と「ほとんど付き合わない人」の比率は15.3%と平均(6.7%)の2倍以上、加盟国中トップだった。オランダの2.0%、アメリカの3.1%、ドイツの3.5%などに比べると差は歴然だ。未婚率や一人暮らしの家庭も増加している。