これは「セクハラのない社会」の理想形なのか
こういった風潮により、女性からすれば、仲良くしたいと思っている男性の上司から避けられているように感じる。男性からすれば、仲良くしたいと思っている女性や周囲の人たちから「セクハラだと思われたくない」ために、女性との接触を避けるようになる。
この関係性は、健全な状態だと言えるでしょうか?
みんなが目指した、「セクハラのない社会」の理想形でしょうか?
もちろん、「セクハラ」という問題が社会で起こっている以上、互いに誤解をされない距離を保つことは重要なことです。ただ、今の日本ではそれがあまりにも神経質で、過剰とも思える距離の置き方になってしまっているように思うのです。
以前、「男性上司からそっけない態度を取られている」と感じていた私は、その男性上司(既婚)に直接理由を尋ねたことがありました(今思うと大胆な行動です)。すると、「あまり女性社員と仲良くすると、周りからセクハラだと勘違いされると怖いから……」という答えが返ってきたのです。このとき、私はとても悲しい気持ちになったことを覚えています。私はその男性上司を先輩として信用しているし、そんなこと(セクハラだと勘違いされるから、という理由)でそっけなく振舞われていたことがショックでした。
仲良くしてほしい上司からは避けられるのに、なるべく距離を置きたいおじさんからは死ぬほど連絡が来るし、なんでこんな極端なんでしょう。全然納得がいかない。一体どうなってんの。
女性、少なくとも私は、全ての「おじさん」との間に壁を作りたいわけではありません。「こちらの心情を理解しようともせず、ひたすらに距離を詰めてしつこく連絡をしてくるしんどいオッサン」に対して、「正しい距離」を取ってほしいと願っているだけなのです。
どんな手を使ってでも、連絡先を入手する
ブログを公開したあと、「しつこく連絡が来るのが嫌だと言う前に、そもそも男性に連絡先を教えなければいいのだ」などと言われることもありました。極端に言えば、それでいいのかもしれません。しかし、そうすると今度は男性と女性が「自然な人付き合い」をするのが難しくなるようにも思います。
あと、しつこく連絡をしてくるような「しんどいオッサン」は、どんな手を使ってでもこちらの連絡先を入手しようとします。以前の職場にいたしんどいオッサンは、「GE●でDVD借りたりする? クーポンとかあるから、アプリダウンロードするといいよ」と言って私がアプリをダウンロードするまで横に立ち続け、仕方なくダウンロードをし終わったところで「よし、じゃあ俺が貯めたポイントあげることもできるから、LINE教えて」と言ってきました。ちなみにこのとき「近所にGE●ないので……」とか言い訳したんですけど、「いや、でもとりあえず教えといて?」の一点張りで教えるまで一歩も引いてくれなかったので、仕方なく教えるしかありませんでした。GE●行かねぇ。
私たちは、どうにか自然な人付き合いをすることができないでしょうか。こういったしんどいオッサンの凶行のせいで、もしくは「男性と女性だから……」という理由で、おじさんと若い女性とが信頼関係を築けないのは悲しいことです。
SNSやメッセージアプリの普及で誰にでもすぐに連絡を取ることができる時代だからこそ、自分と相手の間にある境界線がぼやけがちなのだと思います。今一度、「おじさん」と「若い女性」である前に、人間同士として互いに「心地よい距離」を取ることを思い出さねばならないのではないでしょうか。