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全線開通まで45年、そこから廃止までが43年。88年の歴史に幕
が、残念ながら車内には地元の人と思しき人はほとんどいない。途中の無人駅に降りても、人の姿は見られない。かつては職員もいたのだろうと思われる、古い木造駅舎が佇むだけである。まわりを山と川に囲まれたホームは、ローカル線らしいムードを漂わせるが、それは寂しさの裏返しでもある。
結局、全線開通から43年で三江線は姿を消すことになる。全線開通まで45年、そこから廃止までが43年。「クルマのなかった戦前は、かなり乗っている人もいたみたい」(前出の住民)という時代もあったし、木炭の輸送でSLが走ったこともある。が、そんな黄金時代は短く終わり、三江線はまもなく88年の歴史に幕を閉じる。
江の川の流れと石見の山間の風景を車窓から楽しめるのはあと約半月。17日のダイヤ改正以降は、全線を通して走る列車が1往復分増えるという。4月からは二度と乗ることのできない最後の三江線の旅、いかがだろうか。
写真=鼠入昌史