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近所から怒声や苦情が殺到…「犬の認知症」で夜鳴きが止まらなくなった愛犬に80代女性が下した苦渋の決断

source : 提携メディア

genre : ライフ, 社会

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体の不調で動けないことが、認知機能の衰えを加速させている場合には、不調の原因を治療し、動けるようにしてあげることで、認知機能が改善することもある。

「犬にしてみれば、体の自由が利かないから、なんで僕は動けないんだとか、あっちに移動したいのに行けないとか、いろんな理由があって鳴いている。それなのに、多くの飼い主さんは、単純に年を取ったせいで動きがにぶいとか、寝ているんだとか判断し、異変のサインを放置してしまいがちです」

確かに。寝ている時間が増えると、高齢だから仕方ないと思い、歩き方がノロノロしてくると、この子もずいぶん老けたなと考えがちだが、じつはそうした動き方の変化の裏には、治療すれば治る病気が潜んでいることもあるらしい。

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「運動を心がけるようにしたり、マッサージしたりすれば、ペットだって延ばせる健康寿命がある。だからこそ、異変のサインを見逃さず、早目に対処できるようにしなければ」

ペットの小さな変化を見逃さないでほしい

佐伯教授が病院長を務める帝京科学大学附属動物病院では、専門の教員を中心として現在、高齢ペットの飼い主を対象に、健康寿命を延ばすための老犬教室と老猫教室を企画中。年を取ると、どんな変化が起きて来て、どういうサインを見逃したらダメなのか、身体機能が落ちてきたペットの適切なケアの仕方などを紹介し、参加者の相談に対応する予定だという。

せっかくなので、人の医療とも連携して、高齢の飼い主と高齢ペットの両方を対象にする教室にしたらどうだろう。ペットを飼うことは、高齢者の健康に対し心身両面でメリットがあることがわかっている。老々介護の不安軽減に役立つだけでなく、長い目で見れば、医療費問題の解決にもつながるはずだ。

木原 洋美(きはら・ひろみ)
医療ジャーナリスト/コピーライター
コピーライターとして、ファッション、流通、環境保全から医療まで、幅広い分野のPRに関わった後、医療に軸足を移す。ダイヤモンド社、講談社、プレジデント社などの雑誌やWEBサイトに記事を執筆。近年は医療系のホームページ、動画の企画・制作も手掛けている。著書に『「がん」が生活習慣病になる日 遺伝子から線虫まで 早期発見時代はもう始まっている』(ダイヤモンド社)などがある。
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