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今井絵理子議員は令和のマリー・アントワネットか…政治家が空気を読めないSNS投稿をしてしまう根本理由

source : 提携メディア

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会社での上司にあたる「教育役」が存在しない

このように国会とは男性優位にして、女性が不利益を被りやすい「職場環境」と言える。

会社には自分の上に必ず上司や先輩がいる。上司は部下を教育する責任を負っている。それゆえ、会社に勤めていれば「教えられる機会」は多い。だが国会議員には「誰かに教えてもらう機会」というのは、少ない。というのも、国会議員には会社での上司にあたる「教育役」が存在しないからだ。国会議員とは各々が独立した個人事業主、あるいは零細企業の社長と言ってもよいかもしれない。

男性議員同士であれば、酒の席などでざっくばらんに先輩が助言することもあるだろう。男社会では、仕事の本音の話は男同士で語られることがほとんどだ。圧倒的な男社会にあって、女性議員が先輩からストレートな忠告を受ける機会はほとんどないのではないか。

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議員として発信すべき情報、逆に発信を避けるべき情報。こうした振る舞い方を日常的に指導する先輩がいれば、このような炎上は起きなかったかもしれない。

「広報上手」の経営者が共通して持っているもの

ここまで勘違いによる炎上が発生する構図を見てきた。「業界の当たり前に浸り、世間の常識を見失う」「自分には人気があると勘違いしてしまう」「自分を諫める存在がいない」。これらは何も国会議員だけに当てはまるものではない。むしろ企業の経営者や部長以上の管理職のほうが、より陥りやすい構図ではないか。

私が経済記者として取材してきた「広報上手」の経営者には共通点がある。それは「自分を客観視する仕組み」を持っているということだ。

例えば「日本で最も広報上手な経営者」であるソフトバンク・孫正義社長はX(旧ツイッター)で一般の批判者ともよく絡んでいた。あるいは「目上」である渡邉恒雄・読売新聞グループ本社代表取締役主筆、あるいは異業種の著名人、中国のEC最大手アリババグループを創業したジャック・マー氏のような海外の有力企業の経営者など、「自分に忖度(そんたく)しない相手」とも積極的に交流していることで知られる。