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今井絵理子議員は令和のマリー・アントワネットか…政治家が空気を読めないSNS投稿をしてしまう根本理由

source : 提携メディア

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夏休みシーズンに政治家の海外「視察」が相次ぐというのは、少しでも永田町に関わったことがある者には「常識」だ。どれほど海外「視察」が多いのか、コロナ禍で海外渡航が困難になる前の2019年を例にみてみたい。「衆議院の動き」という衆議院が発行している冊子の「議員海外派遣」の項目に詳しく書かれている。

これによると2019年は全17回、議員団が派遣されている。そのうち、実に13回が8月に集中、8月は70人近い議員が派遣されている。衆議院の正式な議員団だけに、与野党の混成部隊だ。自民党では森山裕氏(現・選挙対策委員長)、高木毅氏(現・国会対策委員長)、立憲民主党では辻元清美氏、野田佳彦氏(元総理)、海江田万里氏(現・衆議院副議長)など、「大物議員」も含まれている。

夏の海外渡航は「業界の常識」

所属政党だけではなく、行き先も多岐にわたっている。「南部アジア各国における政治経済事情等調査」では「インド・ブータン・ミャンマー」、「欧州各国における財政金融経済事情等調査」では「ポルトガル・スペイン」、「欧州各国における教育、文化芸術及びスポーツ振興に関する調査」は「イタリア・バチカン・ポルトガル・英国」、「イタリア共和国等における議会制度及び政治経済事情調査」は当然「イタリア・バチカン」といった具合だ。期間は概ね1週間から10日となっている。

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衆議院の公式派遣だけで、70人近いのだ。参議院、さらに政党や議連などでの派遣まで含めれば、その数は大幅に増える。つまり「夏の海外渡航」は国会議員のあいだでは「みんながやっていること」であり、いわば「常識」なのだ。

海外で羽を伸ばす国会議員とは対照的に、一般的な有権者の置かれた状況は厳しい。厚生労働省が先月発表した5月の実質賃金は前年同月比で1.2%減っている。マイナスとなるのは14カ月連続という惨状だ。

国会議員にとって海外渡航は「常識」でも、一般の有権者の眼には「自分たちの納めた税金で遊んでいるのか」と映ってしまう。「業界の常識」に浸るあまり、一般有権者の眼にどう映るか、想像が至らなかったのではないか。