2023年上半期(1月~6月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。インタビュー部門の第1位は、こちら!(初公開日 2023年4月20日)。
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タンクトップに描かれたゴリラも顔負けの隆々とした筋肉を見せつけるのは坂本一生、52歳である。30年前の1993年に「新加勢大周」騒動で一躍名を馳せたが、現在は千葉県八千代市で「SISパーソナルトレーニングジム」を経営している。
トレーナーとして落ち着くまでには、中古車屋のアルバイトにはじまり、プロレスラー、レストラン店長、トラック運転手、鳶職人、ラーメン屋、フィットネスインストラクター、業務用コピー機の運搬、ホスト、探偵、便利屋といったさまざまな職種を経験してきた。
そんな坂本が、デビュー当時から周囲に翻弄され続けてきた波乱の人生を振り返った。
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6年前に“完全プライベート型パーソナルジム”をオープン
――2022年と2019年の「FLASH」、2021年には「週刊女性」と、ここ数年、メディアのインタビューに応じていらっしゃいます。「あの人はいま」のような企画でご自身が求められているとお感じになりますか?
坂本一生(以下、坂本) おそらくですけど雑誌系メディアの読者って、僕のことをギリギリ知っている世代なんじゃないですかね。こうやってわざわざ取り上げてもらえるのは、ジムの宣伝にもなりますし、ありがたく思っています。ただ、僕がジムを経営していないのに取材に来られたら「もうそっとしておいて」と断っているでしょうね(笑)。
――八千代市でジムを開いているのはなぜですか?
坂本 ここが地元だからです。最初は兵庫県の芦屋でやろうという話が持ち上がっていたんだけど、話の途中で親父が死んじゃった。かあちゃんを一人残して行くわけにもいかないから地元に残りました。そして、6年前に“完全プライベート型パーソナルジム”としてオープンしました。
「新加勢大周」という名前のブランディング効果は絶大
――それまでは波瀾万丈の人生でした。振り返ってみていかがですか?
坂本 デビューしたのは本当に偶然でした。93年に留学先のオーストラリアから帰国した成田空港で、当時の事務所マネージャーからスカウトされたんです。もちろん、事務所と加勢さんがトラブルになっていることも、加勢さんの存在さえも知らなかった。そして、いきなり「新加勢大周の名前でデビューさせる」「あっちは白のTシャツだから、お前は黒のタンクトップだ」なんて言われて、それに従うしかありませんでした。
――記者会見には200名以上が集まる大騒動になりました。ところが、わずか20日後に、「坂本一生」に改名することになります。当時、「新・○○」が第10回新語・流行語大賞新語部門・銀賞を受賞しています。
坂本 テレビとかに登場するたびに「新加勢大周あらため坂本一生さんです」って紹介されていました。こんなんだったら最初から坂本一生でデビューしたかった。でも、いち早く顔と名前を覚えてもらうには、「新加勢大周」は絶大なブランディング効果があったと思います。