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アマ最速左腕・細野晴希を超える衝撃…今、最も楽天にほしいドラフト候補は国学院大・武内夏暉だ

文春野球コラム ペナントレース2023

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 9月に入りペナントレースも大詰めを迎えようとしている。東北楽天ゴールデンイーグルスは現在4位、3位ホークスとは2ゲーム差にまで迫ってきた。

 力のあるチームは夏場に崩れず、さらにこの時期に加速する。

 27勝19敗。この数字は今シーズン、イーグルスの7月と8月、2ヶ月間の成績だ。この時期に踏ん張れないシーズンは何度も経験してきたが、その点から考えれば例年とは全く違う景色をみせてくれている。この勢いを9月に繋げていければおもしろい展開になりそうだ。

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準々決勝9回裏の攻撃に佐々木麟太郎のスター性をみた

 さて、今回はそんなイーグルスの未来をさらに良いものにするために、10月に控えているプロ野球ドラフト会議の話をしたい。東北楽天ゴールデンイーグルスが獲得すべき未来のスーパースターを考えようではないか。

 今シーズン、ドラフト1位ルーキーの荘司康誠が先発ローテーションに食い込み、同期の渡辺翔太は中継ぎで結果を出し続け、セットアッパーの位置を掴んだ。高卒3年目の内星龍も勝ちパターンの一角を担い、若手投手陣は着実に育ちつつある。その一方で野手が思ったように出てきていないのが現状だ。黒川史陽、武藤敦貴などシーズン前にブレイク必至と予測していた二人が一軍にいない。25歳以下の野手がレギュラーに1人もいないのは寂しさをこえて不安しかない。その点から考えても今年はまずは野手だ。それも未来の和製大砲を取りに行かなくてはいけない。

 ならば僕は佐々木麟太郎(花巻東)を挙げたい。高校通算140本塁打という、規格外の成績をひっさげのぞんだ最後の夏、甲子園ではホームランをみせることは出来なかったが、あのスイングスピード、飛距離は高校生の枠を超え、大学、社会人を含めたアマチュアでもトップクラスではないだろうか。守備や脚などマイナス面を書き連ねた記事なども目にすることはあるが、まずは特S級の何かを持っている魅力を見つめるべきだ。

佐々木麟太郎 ©時事通信社

 そして敗れはしたが、準々決勝仙台育英戦での9回裏の攻撃に彼のスター性をみた。8回まで花巻東のスコアボードにはゼロが連なり、最後の攻撃は4番からであった。3番の佐々木麟太郎からは一番遠い場所、さすがに彼まではまわらないだろうと思っていた。しかし、それまでが嘘のように花巻東打線が繋がり、9回裏ツーアウトで彼に打席がまわった。結果はセカンドゴロでゲームセットになったが、いわゆる持ってる選手なのである。ダルビッシュ有、田中将大も甲子園では最後のバッターになっている。言葉での説明は難しいが、そういう選手の証明にもなったのではないだろうか。

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