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「人間のサイズではない…」オーダースーツ会社社長が語る、プロ野球選手の“驚異の肉体”

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/09/14
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生地もイチから作る……「タイガースモデルスーツ」へのこだわりとは?

 文春野球読者のみなさま、はじめまして。『オーダースーツSADA』の佐田展隆と申します。弊社・オーダースーツSADAは今年で創業100年を迎える老舗で、現在は全国47店舗でお客様に「フルオーダースーツ」を提供しています。

 そんな、スーツ会社の社長である私が今回、なぜ「文春野球・阪神タイガース」さんでお話をさせて頂くかというと……何を隠そう、弊社はタイガース様の選手、関係者の方々に毎年オーダースーツを提供させて頂いているからでございます。

 正直に申し上げますと、私自身は「野球」に関しては素人です。学生時代はサッカーとスキー競技のノルディック複合に没頭したゴリゴリの「体育会系」ではありますが、たとえばここで、「今年のタイガースは……」のような野球のお話をさせていただく気は毛頭ございません。

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 しかし、こと「スーツ」に関してはプロフェッショナルであると自負しております。

 そこで今回は、「プロ野球選手が着るスーツ」について、少しお話しさせて頂こうと思います。

筆者 ©佐田展隆

 弊社は現在、プロ野球ではタイガース様と千葉ロッテマリーンズ様の2球団、サッカーではJ1からJ3まで入れて13クラブにスーツの提供をさせて頂いております。

 そもそも、なぜ日本のプロアスリートは公式な場でスーツを着るのでしょうか。そのルーツはイギリスにあると言われています。イギリス発祥のスポーツはドレスコードがかなり厳しく、その代表例がサッカーやゴルフです。やはり紳士のスポーツで、地域の英雄、国の英雄なんだから、「着るものはしっかりしなさい」という伝統があるようです。

 当然、お国柄も影響しますが、たとえばイタリアの場合はいわゆる「ジャケスラ=ジャケットにスラックスのスタイル」が多かったりもします。そういった海外の流れは日本にも大きく影響するので、サッカーの場合は海外リーグのクラブなどにならって、「公式の場ではジャケットを着用しよう、スーツを着よう」となるわけです。

 野球も同様で、チームスポーツですから公の場では「揃いのスタイルで出たほうがいいだろう」という文化がございます。その場合、やはりどこに出ても恥ずかしくない「スーツ」がチョイスされるわけです。

 なので弊社にお話が来るサッカークラブも、たとえばJ1、J2に上がるタイミングだったりすることが多いです。「上のカテゴリに上がるので、チームでそろいのスーツを仕立てたい」ということですね。

 弊社がタイガース様に提供しているスーツは「タイガースモデルスーツ」という呼称でして、選手やフロントの方々などに毎年200着以上、仕立てさせて頂いています。これは、サッカー、プロ野球も含めて弊社がお仕立てしているプロスポーツチームの中では断トツの数字です。

 その点からもやはり、球団としての規模の大きさを実感しております。

 ただ、実を言うとタイガース様の場合でも、選手全員にスーツをご提供しているわけではありません。当然、着数にも限界はあるので、一軍の選手であったり、二軍であっても「一軍でプレーする可能性がある」つまり、スーツを着て公の場に出る可能性がある選手に関して、スーツを提供させて頂いております。そういった選手のリストは球団の方からご提供いただけるので、正直に言うとそのリストを見ればチーム内の「立ち位置」のようなものも、わかるかもしれません。……ここだけのお話ですが(笑)。

「タイガースモデルスーツ」に関してはこだわりもかなりありまして、生地をイチから作っています。

 スーツを仕立てるにあたって、タイガース様からの要望は「どこに出しても恥ずかしくないもの」ということでした。当然、つくる側も気合いは入りますよね。

 打ち合わせの場では「黄色のストライプなんかを入れることもできますよ」と半分冗談でお伝えしたのですが、「絶対にやめてくれ」と念を押されてしまいました(笑)。

 裏地に虎柄を入れることも「やめてくれ」ということで、あくまでも紳士として、どこに出ても恥ずかしくない上質なスーツを……というご要望でしたので、スタイルとしては非常にスタンダードなモデルになっています。

 タイガースモデルスーツは今季で2モデル目ですが、黒字に織柄が入ったものとなっています。その「黒」の色味も実は多種多様でして、球団の方とはどんな色味にするか、まで綿密に打ち合わせさせていただいています。

 ちなみに、タイガースモデルスーツの裏地には球団のエンブレムが入っています。一般のお客様も購入が可能ですので、もし興味がある方がいればオーダースーツSADAの店舗までお越しください!

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