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優勝がなくなった球団のファンは何を目標にすればよいのか…わがままなファンの正解と不正解

文春野球コラム ペナントレース2023

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今季見られた変化

 2023年シーズンは結果だけを見ると少し寂しい1年だったかもしれません。その一方で、原辰徳監督政権下では一番と言っていいほど若手起用の多い1年でした。

 そこには過去とは違ったチームの流れを感じずにはいられません。

 FAでの選手補強が盛んなジャイアンツにおいて特に意見が分かれるのは、じっくり生え抜きを育成するべきか、補強で近未来の勝利を目指すかの点です。

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 過去にFA宣言をした数々のスター選手がジャイアンツのユニフォームに袖を通しました。近年は少し減ってきているとはいえ、丸佳浩選手を迎えて2019年から連覇を果たすなどその補強効果は抜群です。

 一方、人的補償で生え抜きスターの長野久義選手や内海哲也さんが移籍するという、ファンにとっては悲しいニュースもありました。

 今までFAで多くの選手を迎え入れてきた原監督の方針の変化。我々ファンもこれを少しずつ受け入れていけばもっと楽しくなると思います。

 ここ20年くらいのセ・リーグで安定して強さをキープした球団には、生え抜きのスターが揃い踏みしていました。

 落合博満さんの率いた中日ドラゴンズに、リーグ3連覇を成し遂げた広島東洋カープがそうでしょう。

 しかし、生え抜きスターが揃い踏みして黄金時代を築く前後には、勝てない時期を迎えるものです。

 中日は2013年以降にかなり苦戦していますし、広島も3連覇を成し遂げるメンバーが揃うまでの長い期間は苦しい時期を過ごしました。

 個人的には多くの若手を起用した原監督の3年契約の3年目である来季に「若いチーム」から「若くて勝てるチーム」への変貌を遂げてもらいたい。それが一番の望みです。

さぁ、わがままを炸裂させよう

 ジャイアンツの偉大なるOBの上原浩治さんが自身のYouTubeチャンネルでたびたび口にする「野球に正解はない」という言葉が思い出されます。

 ファンの応援の内容やスタンスにも、もちろん正解はないと僕は思うのです。一方、いくつかの「不正解」はあると思います。

 インターネット上で目に余る誹謗中傷を書き込み続けたり、選手の個人的なSNSに心ないコメントを投げかけたり。

 これらは完全に不正解。

 された選手や球団スタッフはもちろん、それを見た人すべての人が不快で悲しい気持ちになります。それどころか内容によってはシンプルに犯罪行為です。

 ごくまれに1回から9回までエンドレスで野次を飛ばす人を見かけますが、チケット代と時間がもったいないなーと思い、生温かい目で眺めてしまう僕です。

 ほとんどのファンの方には関係ないこんな話をしてしまうのは、僕自身が純烈というファンの方々の支えがあって成り立つ職業をしているからだと思います。

 ファンの方には大いにわがままでいてもらいたいのです。楽しければ思い切り楽しんでほしいし、不満があったら口にしてもらいたい。

 だからこそ「これだけはやめてほしい」ということは、先にお伝えしなきゃいけないなと思いながら仕事をしています。

 プロ野球という規模の大きいエンターテインメントでは、選手とファンが直接語り合えることは少ないかもしれません。でも、僕はプロ野球ファンとしてはわがままに楽しみたい。

 野球をしたことのない素人が「あの場面は本当によくやった」とか「あの選手はイマイチだな」とか、減らず口を叩きながら飲むお酒は最高においしいものです。

 残り少なくなった今季、そして希望に満ちた来季以降、わがままなジャイアンツファンとして大いに楽しむ。

 このコラムを読んでいただいたみなさまと、そんな時間を共有できたらこの上ない幸せだと思うのです。

◆ ◆ ◆

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