原巨人を支えてきた「大型補強時代」の終焉

 原巨人、通算17年目の惨敗。

 2年連続Bクラスに低迷。優勝した阪神には、6勝18敗1分けという歴史的大敗を喫した。正直、惜しいとかじゃなく、ボロ負けだ。って、冷静に文字にすると、やはり「原体制17年目」は長い。長すぎる。だって、赤ん坊が高校3年生になる年月だからね。仮にあと1年残っている契約を全うしたら計18年。つまり、G党にとってもはや原巨人とは実家みたいなものだ。

「原巨人=実家論」。17歳の思春期、親が何しても腹が立つあの感じ。毎度おなじみ左右病に自らを撃ち抜くマシンガン継投、父ちゃんまたこれねと。いちいち失望している我々巨人ファンは反抗期なのだろうか? 俺らは監督ガチャに失敗したのだろうか? というか、原巨人は、終わってしまったのだろうか?

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 ここで、「タツノリ、まだ始まっちゃいねえよ」とか即答できないのが悲しいところだ。残り試合全勝して逆転CS出場から下克上日本一……もほぼ絶望的で実際にシーズン終わりかけてるからね。こんなとき、一昔前ならFAで31歳の杉内俊哉と村田修一の両獲りをして、ついでに最多勝ホールトンまで獲って、強引にチームを立て直してきた。今の球界で言ったら、即メジャー行きのDeNA今永クラスの左腕エース、西武の山川(あくまで例えね)、さらには助っ人バウアーまで一気に補強してしまうむちゃくちゃさである。令和ならSNS大炎上待ったなしだ。

 さらに第一次(02年~03年)、第二次(06年~15年)政権とど真ん中で原巨人を支えてきたのは、逆指名ドラフト組だった。五冠達成した2012年の投打の柱は、逆指名入団の阿部慎之助と内海哲也。さらに長野久義や菅野智之のようにアマ球界の逸材が「巨人以外は拒否」なんてスタンスには、もはやノスタルジーすら感じる。この10年で、日本球界のシステムも、巨人を取り巻く環境も大きく変わったのである。

原辰徳監督 ©時事通信社

3年間の由伸政権は、原政権より酷かった?

 長いスパンで見たら、どんなチームにも浮き沈みがあり、勝ったり負けたりを繰り返す。普通ならそれを何人かの監督で回すけど、原巨人は通算17年なので、称賛も批判も独り占め。どうしても「なんか見たことあるこの感じ」と一種のマンネリ状態に陥ってしまう。

 マンネリは怖い。昔はあれだけ好きだった恋人の些細な行動にも腹が立って、時間を無駄にしたとか早く別れなきゃとすら思う。新しい人と付き合えばこの日常にも変化があるはずだってね。でも、過去とは美化されたウソである。みんな覚えてる? 由伸政権時代のこと。俺は選手時代の“地上波中継時代最後のスーパースター”高橋由伸が大好きだ。けど、ゴメン。由伸政権は最低だった。

 酷かったよ。最終年に岡本和真が出てこなければ本当に悲惨な3年間だったと思う。考えてみてくれよ。13連敗して、阿部や村田や内海や山口鉄也が衰えて、逆襲の切り札が「二塁マギー」だよ。今季の「遊撃門脇の出現により三塁坂本を決断」と比較したら、編成的にほとんどギャグだからね。

 だから、昔は良かった的な思考に陥りそうなとき、いつも「二塁マギー」を思い出すようにしている。正直、今の巨人は、監督を代えたらすべてが変わるなんて単純で甘いレベルじゃないと思うよ。日本球界で何十年と続いた“ジャイアンツ・アズ・ナンバーワンシステム”が終わって、まったく違うチーム作りを求められているわけだから。