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SMAP解散時、スポーツ紙と事務所の「異常な近さ」を感じたが…新聞各紙は「マスメディアの沈黙」をどう報じたか《ジャニーズ性加害》

2023/09/12
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 ジャニーズ事務所の記者会見が9月7日におこなわれました。新聞読み比べがライフワークの私としては「マスメディアの沈黙」について新聞がどう報じたか気になります。「マスメディアの沈黙」とは、故ジャニー喜多川氏の性加害疑惑をメディアが沈黙してきたことについて、再発防止特別チームが指摘した言葉である。

 報告書が公開された翌日、皮肉だったのは朝日新聞の1面だった(8月30日)。朝日に取材されたジャニーズ事務所は提言を「真摯に受け止め」と答えているのだが、その下のコラム「天声人語」はマスメディアの沈黙について、

《真摯に受け止めなければいけない》

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 と書いていたのだ。ジャニーズも朝日新聞も「真摯」そろい踏み。政治家の言い訳みたいだ。寄ってたかって安く使われて「真摯」がかわいそう。

記者会見の様子 ©文藝春秋

新聞各紙の社説をチェック

 では「マスメディアの沈黙」という指摘に関して、各紙の社説はどう書いたか。

 朝日新聞は、

《朝日新聞を含むメディアは、報道や取引関係を通じて働きかけることができたのに、それをせず、社会の無関心を招いた。性暴力が深刻な人権侵害との認識を持てなかった過ちを、深く省みなければならない。》(8月31日)

「朝日新聞を含むメディアは」というが、ここは「朝日新聞は」でいいじゃないか。姑息だ。

新社長に就任した東山紀之氏 ©時事通信社

 毎日新聞と東京新聞は、

《重く受け止めなければならない。》(毎日新聞8月31日)

《重く受け止めなければならない。》(東京新聞9月5日)

 重く受け止めたみたいだが、こういう場合「軽く受け止めた」と書くわけがない。

 産経新聞は、

《この厳しい指摘には、抗すべき言葉もない。産経新聞をはじめとする新聞、テレビがこの問題の報道に及び腰であったことは事実である。》(8月31日)

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