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SMAP解散時、スポーツ紙と事務所の「異常な近さ」を感じたが…新聞各紙は「マスメディアの沈黙」をどう報じたか《ジャニーズ性加害》

2023/09/12
note

 なんと「マスメディアの沈黙」はファンと社会の責任というのである。そう読める。社説では反省モードだったが、偉そうなベテランのコラムはこういうとき本音が見えるので参考になる。そもそも「受け手に黙殺されれば、それも成り立たない」というが、伊藤氏は「ウケるかどうか」だけで記事を書いてきたのだろうか?

スポーツ紙と事務所の「近さ」

 さて、ジャニーズ事務所の会見で私が注目したのはスポーツ紙の反応だった。2016年に起きたSMAP解散騒動のとき、「事務所との近さ」がわかる記事がちょいちょい出ていたからである。

 たとえば、

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一刻も早くメリー副社長に直接謝罪するしかない。それがグループ存続への一歩になる。(2016年1月18日)

 とスポーツニッポンは書いた。これはジャニーズ事務所の代弁と考えれば味わい深かった。

 SMAP解散が発表されたあとも驚異の情報戦は続いた。日刊スポーツは、メンバーで解散の話し合いをしようとしたことを載せた。

《しかしその場に木村の姿はなかった。今月に入って休暇を取り、家族を伴ってメリー喜多川副社長(89)らとハワイに長期滞在していた。》(2016年8月15日)

 木村拓哉はメリー喜多川副社長(当時)らとハワイにいたので話し合いの席には不在だったという。キムタクと幹部の近さが想像できる記事だ。

 すると翌日のスポニチに驚きの記事が載った。