最高の形での村上の復活
それだけに、近い将来のメジャー入りを視野に入れているだろう村上選手にとって、大谷選手の打撃は衝撃的だったに違いありません。そういうわけで、同じ「高校出プロ入り5年目」の比較となったわけです。大谷選手のプロ5年目は故障もあったので、4年目MVP時の打撃成績を挙げてみましょう。
・大谷16年=104試合104安打、打率.322、22本塁打、67打点
・村上22年=141試合155安打、打率.318、 56本塁打、134打点
近藤選手と私が2人で、まるで村上選手を励ますような雰囲気でした。
「ムネは三冠王なんだから、ムネのほうが凄かったんだよ」(近藤、鶴岡)
「でも、もっと上をめざさなきゃいけないんですね」(村上)
それが1次ラウンドの村上選手の不調と関係しているのかは定かではありません。しかし、準決勝のサヨナラ打、決勝の本塁打と、最高の形で村上選手は復活しました。
メジャー超一流選手とのプレーは、自らを比較対照させる「物差し」に
大谷翔平選手と一緒のユニフォームでプレーしたことは、村上選手だけではなく、ピッチャー陣、バッター陣にとっても最高の刺激になったことと思います。私は大谷選手のテクニカル面はもちろんのこと、フィジカル面を注目してほしいです。「パワーから生まれる技術がある」というところです。
さらに、メジャー超一流選手とみずからを比較対照させる1つの「物差し」になったと思います。今後、メジャー志望選手は増えるでしょうね。
「日本球界の空洞化」を心配する人もいますが、今回のWBCを目の当たりにした子供たちからまた有望選手がきっと出てきます。そういう意味でも、今回のダルビッシュ投手、大谷選手のWBC参加は日本野球にとって意義深いことでした。