文春オンライン

寺島しのぶが明かす長男・眞秀の初舞台「父親はフランス人だし、やっぱり御曹司にはかなわないなと不安でした」

note

 女人禁制の舞台に立つ――寺島しのぶさんは10月2日から、女性としては異例の歌舞伎本公演『文七元結物語』に出演している。出演は、幼なじみである中村獅童さんからの電話一本で決めた。

 これまで以上に「お芝居を楽しんでいきたい」と意気込む寺島さんは、今年の春には、10歳になる息子・眞秀を「楽しんでおいで」と初舞台へ送り出す梨園の母の立場にあった。息子が舞台を踏む当日まで、「胃がもんどりうっているような日が続きました」と「文藝春秋」11月号のインタビューで打ち明けている。

寺島しのぶ ©資人導(Vale.)

初舞台を見終わった後は放心状態だった

「今年の『團菊祭五月大歌舞伎』で、長男が初代尾上眞秀(おのえまほろ)として初舞台を踏みました。

ADVERTISEMENT

 初日が開(あ)くまでは、どうしていいかわからないほどドキドキして、生きた心地がしませんでした。 

 初日の舞台を観ながら、夫(フランス人のアートディレクター、ローラン・グナシア氏)の手をずっと握っていました。思わず力が入っていたようで、あとで見たらローランの手に爪の跡がついていたくらい(笑)。でもローランも痛みを全然感じなかったそうで、それくらい彼も必死で観ていたんだと思います。終わったあとは、もう放心状態でした」

令和5年5月歌舞伎座『音菊眞秀若武者』岩見重太郎=尾上眞秀 ⓒ松竹

 眞秀くんのために書かれた新作『音菊眞秀若武者(おとにきくまことのわかむしゃ)』で、眞秀は初舞台ながら「女方」と男性役の「立役」の二役を務めた。その重責に寺島さんはキリキリするも、眞秀は意外にも飄々としていたという。