新たなスタイルを構築して欲しいというレジェンドのエール
和田は悩む山本由伸の背中を押した。球界に新たなイノベーションを起こして欲しいとエールを送った。決して大きくはない山本由伸の170cm台の身長、身体のサイズ感で戦えることを示す新たなスタイルを構築して欲しいと強く訴えた。走り込みやウエイトトレーニングによる大きな負荷をかけての進化ではなく、自然体の中で体の使い方を工夫し、実戦の中で身体を鍛え上げ、進化を遂げる……山本由伸に迷いは無くなった。
それからは後半戦だけで怒涛の7勝、ノーヒットノーラン達成、最優秀防御率、最多勝利、勝率、最多奪三振の投手4冠を3年続けて受賞した。もちろんオリックスのパ・リーグ3連覇の立役者の中心となった。
誰にだって大きな不安がある。自分では解決できない葛藤がある。それを解消してくれる大きな存在がいる。完璧に見える山本由伸にも苦悩がある。頼りたい時、相談したことがあった。それを大海原のように受け止め、アドバイスを送り、未来に導いた和田毅。野球って素晴らしい。ベテランと若手の人生賛歌、日本球界ここにあり。
ついに始まったクライマックスシリーズ。私もファイナルステージ初戦を実況させて頂く。その初戦、山本由伸対和田毅の可能性があった。もし、そうなっていたら……二人が会話をするように投げる姿が目に浮かぶ。誰にも描けない人生ストーリーがそこにある。プロ野球中継って素晴らしい。だからやめられない。
さあ、みなさん今日も1日頑張りましょう!
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