気になる各調査の結果は…
各種調査では、いま解散しても与党はそんなに議席を落とさないよという予想と、都市部を中心にかなり自民党は議席を失うのではないかという予想が拮抗しています。
自民党の有力議員が早期解散論を主張しているのは、どうも自民党内の某調査は「すぐに選挙になっても落とす議席は数議席に留まる」という結果になったからことが根拠のようです。他方、ブロックごとや都市部で調査をやると左から立憲が、右から維新が躍進して得票を伸ばし、間に挟まれた自公が競り合いを落とす可能性も示唆され、維新の獲得議席予想は小選挙区と比例併せて65から75議席も取って躍進する可能性があります。出た数字をそのまま議席数に反映させると維新85議席とかいう数字にもなるので、警戒感は持って然るべきだとは思うのですが。
特に東京選挙区は、今回一人一票の格差是正の影響で10増10減のうち小選挙区が5個増えて30選挙区になってます。狭い。しかし、国会議員を一人送り出す小選挙区の区割りが世田谷区より小さいとかいうバグが起きて、区長選のほうがよほど民意を担っている、みたいな状況になっていてウケます。
このような選挙区情勢で、ネット経由の、SNSやネットニュース、ネット動画が中心となって作り上げられる都市部の政治状況が、有権者の投票行動をほんのり変え続けてきた結果、思ってもみなかったような票の動きになるのではないかと心配になるんですよね。仮にそれが杞憂なのだとしても、岸田文雄さんからビンビンに感じる「俺は自信をもっていい政治を実現しているのだから、国民はきっと評価してくれるだろう」という、ある種のナイーブな考えはちょっと危険なのではないかな、と思います。
政治こそ宣伝が必要だという話をすると、あたかもプロパガンダをどんどんやれという受け取られ方をしてしまうのかもしれませんが、少なくとも岸田文雄政権が取り組んで結果を出した政策もたくさんあり、ただインボイス制度やマイナンバーカードのあれこれは国民にとって不人気だったにすぎません。防衛費増額による財源議論も社会保険料値上がりによる国民負担も、別に岸田さんが悪いわけでもないんですよね。
ウェブサービスが中国ほか外国資本に押さえられている
むしろ、ガソリン代や電気代、小麦など、ピンポイントで国民にとって必要な物資、電気代には大胆に政府補助を入れ、消費者価格をコントロールしきって、他国に比べれば抜群に物価統制がうまくいったのは岸田政権の功績です。ただ、なぜそういう政治をしなければならなくなったのかと言えば、アベノミクスの失敗や副作用による負の遺産を、岸田文雄政権が自らの宿題としてどうにかしなければならなくなっているからに他なりません。
いまの円安にしても、安倍政権で続いてきたゼロ金利による金融緩和の影響で「弱い日本円」がエネルギーなど輸入価格を押し上げ、相対的に日本を貧乏にしている面は否めないのです。本来、岸田文雄さんが解散総選挙に踏み切るのならば、ここに対するアンサーを分かりやすく国民に提示する必要があります。
国民からすると、そういう岸田政権の本質が分かりにくいのは確かで、メッセージ性を欠いて、選挙に挑むテーマもはっきりしないので岸田さんを支持しようがないという状況なうえ、ネットで中傷されても「俺が岸田を守る!」という熱狂的なシンパもいないので、もはや“増税メガネ”が定着しちゃうわけですよ。いきおい、秋の補正に関連して岸田さんもつい「減税する」と言い始めてしまいました。
このあたりの流れは、政治的な影響力が大きくなったSNSをはじめとするウェブサービスが、中国ほか外国資本に押さえられ、日本の統制下にないことも含めて構造を見極めるしかないんじゃないですかね。
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