文春オンライン

《増税メガネ》繰り返し中傷され続ける岸田政権と、民主主義に介入する中華TikTokの“懸念と脅威”

岸田文雄さんが実施した増税などひとつもないのに…

2023/10/06
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 選挙モード一色になりつつも、割と直近の衆参補選の事前情勢が悪くて「2戦1勝1敗なら解散」とか「2敗したら年内解散見送り」など、立浪ドラゴンズの最下位星取表予想みたいな状況になってきました。

 問題は各種調査の結果、どうも俺たちの岸田文雄政権の支持率がすごく低く出ていることなんですよね。「それでも支持率25%は高い」と思う人もいるかもしれませんが、解散総選挙を決断する(はずの)岸田さんに人気がなくて、自民党自体はまあまあ支持堅調なところを見ると「解散は岸田さんが決めても自民党が選挙に勝つには顔は岸田さんじゃないほうが勝ちやすい」みたいなジレンマが起きてしまいます。

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 なら解散すんなよって気もしますが、仮に来春まで延ばしたところで政権支持率が上がりそうなイベントが特になく、秋には自民党が総裁選になってしまいますのでそこで罷り間違って岸田さんが総裁選に出馬もできず総裁留任できなそうだとなると菅義偉さんから2代続けて「総裁選に負けそうだから後継指名もできず退陣に追い込まれる総理」になってしまいます。

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 その岸田政権の不支持傾向をしげしげと見ておりますと、いくつかキーワードがあります。最たるものは「若者低所得層」と「都市部」、そして「ネット利用時間が多い層」です。ある意味で、安倍晋三さんとやや逆な感じなんすよね。

「ネットを見ている層から岸田政権は不人気のようだ」という傾向は気になるところで、フィードに流れてくるSNSやネットニュースをそのまま見ている人は、繰り返し表示される岸田政権DISを読んで真に受けている(事実関係はともかく、信じている)構造はあるかもしれません。特に、一部メディアでも報じられた「増税メガネ」の揶揄動画はTikTokでも繰り返し表示され、他の動画サイトでも特にショート動画は岸田政権批判が完全にフィルターバブルの中に入っちゃってます。

 つまり、一度二度、岸田政権批判のリールやショート動画を観たりタップしたりしてしまうと、SNSに載っている人工知能が「おっ、こいつは岸田批判動画が好きなんやな。ほなら、もっと岸田批判を表示したろ」ってなってしまうのがフィルターバブルの恐ろしさなんですよね。

 とはいえ、国民が作った自然発生的な動画を岸田政権が「都合が悪いから」と表示するなというわけにもいかず、しかもTikTokも instagramも Youtubeも全部海外のサービスですから、うっかり「お前らもうちょっと考えろよ」と忖度を求めようにも「日本語ワカリマセーン」となってしまいます。