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《背中一面タトゥーに激しい絡みも》寺島しのぶ(50)を大女優に育てた“挫折感”と息子に託した“悲願”「お嫁にいけなくなる」母・富司純子の反対も押し切った役者魂…【悲願の歌舞伎座デビュー】

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 今月、山田洋次脚本・演出の「文七元結物語」で“悲願”の歌舞伎座デビューを果たした女優・寺島しのぶ(50)。10月8日放送のTBS系番組「情熱大陸」で、その喜びと苦悩を語った。

 同番組で「人の心を動かせる芝居をしたい」と意気込みを語った寺島。芸能一家に育った寺島の役者魂を報じた記事を再公開する(初出:文春オンライン 2023年7月23日掲載 年齢、肩書等は当時のまま)。

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 嵐の松本潤主演で今年1月から放送されているNHK大河ドラマ『どうする家康』。6月16日には佐藤浩市ら新たなキャストも発表された同作で、語りを務めるのが女優・寺島しのぶ(50)だ。

「しのぶさんは2012年に長男・眞秀(まほろ)くんを出産後、眞秀くんを一人前の歌舞伎俳優へと育てるため、仕事をかなりセーブしています。『どうする家康』にも声だけの登場ですが、同作には眞秀くんも松平信康役で出演し、“母子共演”として話題になりました」(松竹関係者)

寺島しのぶ ©時事通信社
尾上眞秀(左)と松本潤 『どうする家康』公式インスタグラムより

「あなた、寂しそうね。女優やったらいいじゃない」

 寺島は1972年、七代目尾上菊五郎(当時は菊之助)と女優・富司純子の長女として生まれた。幼い頃から舞台に立って演技を磨いていたが、その裏には深い葛藤を抱えていたという。

「尾上家に長子として生まれたのに、女性であるがゆえに歌舞伎の道を歩むことができないという理不尽にしのぶさんはずっと悩んでいました。5歳下の弟・菊之助さんが歌舞伎役者としてのキャリアを歩み始めてから、その挫折感はより顕著なものになっていたと思います」(同前)

 それでも天性の役者としての才能が内に留まることはなかった。1992年、寺島は父親の親友で女優の太地喜和子に勧められ、演劇界を牽引する劇団「文学座」の門を自ら叩いた。

尾上菊五郎と富司純子 ©時事通信社

「初対面だった太地さんに『あなた、寂しそうね。女優やったらいいじゃない』と言われ、寺島さんは思わず涙したそうです。文学座の看板女優だった杉村春子さんの背中を見て稽古に励み、1996年に退団した後も蜷川幸雄さんら大物が手掛ける舞台に数多く出演。20代前半にして、舞台上で鬼気迫る迫力を発揮するようになりました」(演劇誌編集者)

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