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 演劇界での確固たる地位を築き上げていた寺島に転機が訪れたのは2003年。映画『赤目四十八瀧心中未遂』で初主演を務めると、翌年の日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞を受賞した。しかしこの映画への出演を巡っては、母・富司純子との“大喧嘩”も生まれていた。

寺島が大胆な濡れ場を演じた「赤目四十八瀧心中未遂」

「寺島が演じたのは、背中一面に入れ墨の入った妖艶な女性。ヌードシーンや濡れ場もあったことで、富司は『お嫁に行けなくなる』と出演に強く反対したそう。寺島が2010年に出演した『A-Studio』では、富司から『あなたがヌードになるなら私は自殺する』とまで言われていたことを明かしています」(映画ライター)

 母親からの猛反対を振り切り栄光を掴んだ寺島は、その後も『ヴァイブレータ』や『愛の流刑地』といった大胆なベッドシーンのある映画に挑み、高い評価を得た。さらに2010年には、若松孝二監督の映画『キャタピラー』で、日本人として35年ぶりにベルリン国際映画祭の最優秀女優賞を受賞。日本を代表する名優へと成長を遂げた。

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「何でこのひとを好きだったんだろうと思ってしまった」

 一方の私生活では、1997年に報じられた市川染五郎(現・松本幸四郎)との“梨園の恋”が長く続いた。

松本幸四郎さん ©深野未季/文藝春秋

「報道された当初から本人たちもキッパリと認めていた。約半年後には染五郎に当時5歳になる隠し子がいたことが発覚しましたが、それも2人で乗り越え、歌舞伎界を代表するカップルになっていました。ところが、2003年に突然染五郎が一般女性との婚約を発表。30歳を迎えて結婚も考えていたしのぶさんは相当ショックを受けていました」(前出・松竹関係者)

 実際に、染五郎の婚約発表からおよそ4カ月後に発売された雑誌のインタビューで、寺島は染五郎の名前は出さないながらもこう答えている。

〈すごく信頼していたのに、その思いが裏切られたというか、今まで私は何をしていたんだろう、何でこのひとを好きだったんだろうと思ってしまった〉