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 御堂筋で大きな喧嘩をしたことがあった。

 昔、明友会というミナミを圧巻した愚連隊のグループがあり、わしらの南道会などはよく揉めていた。

いきなり足を刺されたことも…

 ある時そいつらと、ちょっとしたトラブルがあった。わしらは3人で、向こうは5人いたと思う。

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 近くにあった麻雀屋の前で喧嘩が始まり、こっちも宿敵が相手だから引くわけにもいかない。大声で騒いでいてうるさいから、若い衆に「ドス持ってこい、こいつらぶちのめしてやってやる」と言って喧嘩になった。

写真はイメージ ©getty

 わしは目を切られて、それで頭に来て無我夢中で相手の太ももをドスで刺したら、向こうが慌てて逃げた。少し経ってズキズキ痛いなと思ったら、わしの方も足を刺されて血が噴き出していた。

 太ももを刺すのにもコツがある。内股は大動脈が走り第二の心臓と呼ばれるくらいの大事な部分だから、ここを刺したら出血多量で即死の可能性もある。逆に外側だったらなんていうこともない。痛いけど、別に押さえれば走って逃げられるくらいだから大したことではない。

 ミナミでは、こんな事件は日常茶飯事だった。