中国国営系企業傘下の「上海電力日本株式会社」が、青森県東北町の航空自衛隊基地近隣で太陽光発電所を運営していることが、「週刊文春」の取材でわかった。
国有法人「国家電力投資集団有限公司」と傘下企業が、過半の約57%の株式を保有している中国の上海電力本社(昨年度の公式報告より)。その100%子会社が、2013年9月に設立された上海電力日本だ。千代田区の丸ビルに本社を置き、2015年には経団連にも加盟している。これまで、大阪・咲洲でメガソーラー事業を営んでいることなどが報じられてきた。
新たに上海電力日本が運営している事業として発覚したのは、青森県東北町の太陽光発電所だ。発電事業者は、2018年4月に設立された「東北町発電所合同会社」。同社の代表社員(企業)は上海電力日本で、その職務執行者は上海電力日本の施伯紅社長が務めている。つまり、東北町発電所の運営責任者は、上海電力日本の施社長ということだ。土地の所有者は山梨県の林業会社だった。
現地を訪ねると、完全な山間部で、発電所の入口には「関係者以外立入禁止」の注意書きが貼られている。さらに、「固定価格買取制度に基づく再生エネルギー発電事業の認定発電設備」と掲げられた看板には、「再生可能エネルギー発電事業者 氏名=東北町発電所合同会社 代表社員=上海電力日本株式会社 職務執行者=章健(註:前社長)」などと記されていた。発電所の太陽光パネルは、草木の生い茂る高台に設置されている。周囲にひと気は無く、砂利だらけの山道が続き、ダムにつながる川が流れていた。
だが、この発電所から東に約8キロには、航空自衛隊の東北町分屯基地が存在しているのだ。この分屯基地は空自が使用する弾薬等の保管、検査、輸送を担っているという。