「このことは妻に内緒にしておいてほしい」
捜査関係者が明かす。
「司はマンションの販売業者に支払いをもう少し待ってほしいと伝えると同時に、『このことは妻に内緒にしておいてほしい』と念を押している。その後も司は『投資絡みのトラブルがあり、銀行の金が動かせない』といった理由で、頭金の支払いを遅らせた。販売業者には『もし妻に知らせたら購入の話自体がなくなる』と、入金できていない事実を頑なに彩さんに知られまいとしていた」
だが、購入するマンションは夫婦名義の予定。夫とともにローンを組む彩さんに対して、いつまでもこの“緊急事態”を知らせないわけにはいかない。たまりかねた販売業者が彩さんに事情を伝えたのは、9月20日のこと。驚いた彩さんは、こう返事をしたという。
「今日の夜、夫と話をしますので、明日まで待っていただけますか?」
彩さんの欠勤が始まったのはまさに、その翌日からだったのだ――。
「1カ月後に自宅内で見つかった彩さんの遺体は腐敗が進んでいたため、司法解剖でも死因は特定されなかった。経過をみれば、司のマンション購入費用の未払いが発覚した20日から21日にかけ、夫婦間で何らかの修羅場があり、結果として彩さんは命を落としたことになる」(前出・捜査関係者)
右手は包帯でぐるぐる巻きにされていた
一方、マンションの販売業者も9月21日から彩さんと連絡が取れなくなっていた。その数日後――。ボサボサだった髪を切り揃えて現れた司は「マンションの購入申し込みをキャンセルする」と伝えてきたという。
その際、司の右手には、包帯がぐるぐる巻きにされていた。
「販売業者にマンションの購入キャンセルを申し入れた司は、実は自己資金がなかったこと、それがバレて妻が怒り狂ったことを明かした上で、『右手は骨折した』と。さらに、『妻とは離婚することになった』と説明している」(同前)
新居購入という幸せの絶頂から一転、彩さんは命を落とし、あまつさえ、その遺体を夫に放置され続けた。見えてくるのは、その場しのぎの嘘で不始末の発覚を先送りにしてきた、年上夫の許されざる“現実逃避”だった。
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