1つはPL学園高(大阪)の2学年先輩・清原和博氏(56)の入閣だ。かねて大島宇一郎オーナーに直訴してまで熱望していた人事で、球団関係者によると一軍と二軍を往来して指導に当たる「巡回コーチ」就任を目指していたようだ。
この「清原コーチ」案が実現に至らなかった背景を、ある中日OBが明かす。
「知名度があるキヨ(清原氏)が来れば、人気面で起爆剤になることは親会社も分かっていました。しかし覚醒剤で有罪判決を受けた事件のことがどうしても引っかかったんです。クスリの後遺症のほかに鬱病を抱えていて、シーズンを通して安定的にコーチ業を任せられるのかという点でも踏み切れなかったようです」
後輩の福留孝介は「絶対に嫌です」と拒絶
立浪監督のもう1つの挫折もPL学園高がらみで、後輩の福留孝介氏(46)を「二軍監督」に就任させるのにも失敗している。
「(発表済みの)来季のコーチ人事では、立浪監督の勝負の年だからPLで同期の盟友と二人三脚で臨むということで、今季まで二軍監督だった片岡(篤史)のヘッドコーチ就任が早くから固まっていました。その空席を、立浪監督は福留に打診していたのです」(同前)
PL学園高は上下関係が絶対で、立浪監督から福留氏へのオファーも“半ば命令するような調子”(同前)だったという。しかし福留氏は「絶対に嫌です」と首を縦に振らなかった。
「福留自身が中日の監督候補でもありますからね。来季も苦戦が予想される状況で、立浪監督と一蓮托生になることを避けたかったのでしょう。福留が子どもの頃に中日のキャンプで見た立浪監督に憧れてPL入りしたことは有名な話ですが、中日入り後はむしろ山崎武司(その後楽天などに移籍)を慕っていました。その山崎が二軍監督就任を反対していたことも大きかったようですね」(同前)
立浪監督にとって理想の組閣が実現しなかっただけに、選手補強についてはより自分の希望を譲ることが難しくなっている。
「あくまでプレーするのはコーチではなく、選手ですからね。それだけに、山川獲得には本気で動くでしょう」(同OB)