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住みたい街ランキングで“20代吉祥寺離れ”の理由は「シネコンがないから」? 

SUUMO編集長 池本洋一さんインタビュー #1

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人気上昇中の東京・神奈川・埼玉・千葉の街 SUUMO調べ

―― 「人気上昇中ランキング」に出てくる街は、“郊外中核都市のスタメン”という感じです。

池本 そうそう。立川も海老名も大宮も柏も、全部映画館があるし、レジャー施設がある。若い人たちが安く遊べる場所、かつ交通の要所なんですよね。

 この4都市って、今までは遊びに行く街だったじゃないですか。「立川は遊ぶ場所、住むのは隣の国立でいいじゃん」みたいな話になりそうなものなんですが、今はどちらかというとその利便性を、日常生活の中でも享受したいという人たちが増えている。それが郊外の中核都市の人気を生み出しています。

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「働き方改革」の影響で、さらに郊外が見直されている

―― そして「郊外の中核都市」代表格が、横浜ですもんね。

池本 そうなんです。横浜が遠方からも高い人気を集めた2つ目の理由は、ずばり「働き方改革」。さらに郊外が見直されるきっかけになっていると思います。弊社もそうですけど、労働時間が短くなって夜早く帰る人たちが増えているんですよね。確実に3年前とはまるで違う、早い時間帯に帰っていますよ。

―― 「働き方改革」までランキングに影響を与えているんですか!

池本 ちょっと余談ですけど、ホットペッパーによると「ハッピーアワーが深夜に移行している」動きがあるそうです。以前は、ハッピーアワーといえば「夕方17時から18時30分くらいまでにお店へ入った方は、安くお酒を提供します」という座組みだったんですけど、今その時間は会社が終わっているので、遅い時間にハッピーアワーを持ってきて、なるべく長居してもらおう、2軒目・3軒目で使ってもらおうという戦略に切り替えている。やはり「働き方改革」の影響は出ていると思うんですよ。

―― 今年のランキングで埼玉県勢が大躍進したことにも関係がありますか?

池本 はい、大宮が9位・浦和が10位にランクインしたことにも符合しています。家に早く帰った時に「どれだけ自分の街で楽しめるか」というのは結構重要かなと思っていて。そういった意味で、浦和も大宮も横浜も、大型商業施設、うまい店も安い店もあって、遊ぶ場所もある。駅近くに習い事や塾も揃っている。「食・遊・住・学」は郊外の中核都市のほうが、全てが1駅に集まっています。