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住みたい街ランキングで“20代吉祥寺離れ”の理由は「シネコンがないから」? 

SUUMO編集長 池本洋一さんインタビュー #1

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「シビックプライド」がランキング入りを下支え

―― 「ダサイタマ」と呼ばれた大宮・浦和がトップ10入りというのも驚きでした。

池本 そうですか! 実は私も埼玉県民なんですよ(笑)。NHKのインタビューに応えていたある埼玉県民の方は「今まで入らなかったのがおかしい」と話していて、地元愛がすごかったですよ。この「地元愛」もランキング入りを下支えしている側面はありますよね。

 去年野球では、クライマックスシリーズに横浜ベイスターズが出ましたよね。横浜スタジアムへ足を運ぶ人は確実に増えてます。球団を持っているということで、街に対する求心力が上がっているんじゃないかと思うんですよ。浦和には浦和レッズがあるし。ヨーロッパを見ていてもクラブチームは各都市に散っていて、それをみなさん誇りに思っている。日本では聞きなれない言葉ですが、「シビックプライド」が少しずつ重視されるようになってきたんじゃないでしょうか。

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住みたい街のトレンドは「おしゃれ」→「再開発」→???

―― 今の時代、単に「おしゃれだからこの街に住みたい」ということでもないんですね。

池本 「住みたい街ランキング」の歴史をひもとくと、僕は「3つの波」があると思っています。まずは「おしゃれ」「洗練」。これが住みたい街の第1トレンドでした。その次に来たのが「再開発」です。小泉政権時代に「容積率緩和」が行われて、高いタワーを駅前や湾岸などに建てやすくする方向に法改正が行われたんですね。そういう形で街の再開発が進んだ。これが第2波です。品川や武蔵小杉は、「再開発」余波によって人気を上げてきた街だと思います。それで僕は、いま第3波が来ていると思っていて。

―― 第3波。気になります!

池本 再開発ではない形で街が良くなっているエリアです。その代表格が池袋であり、北千住。そういう第3波のニーズが人々の中にあるのかなって思っています。個人的に、僕は昔から蒲田を推しているんですけど(笑)。

 

#2に続きます)
写真=佐藤亘/文藝春秋
 

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