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〈販売当時は「敷地内にスターバックスも! 豪華な商店街もスポーツジムも完備。すべてがそろっている」がうたい文句だったが、こちらは多くが実現していないのだとか。

「別にスタバは要らないですけど、困るのは学校です」

 住民の女性によると、名門学校の分校が誘致されるという約束だったが、実際にできたのは中学(日本の中学・高校に相当)だけ。小学校がない。不便な場所に建てる代わりに、必要なものは全部そろえるから安心してご購入ください……という約束が反故にされるとなると、確かにしんどい〉

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 周辺の商業施設には空きテナントが並び、街の巨大さに比較して、人影もまばら。さらに夜になると、想像以上の景色が広がっていた。

〈明かりがついているのは全体の1割程度しかない。エレベーターホールの電気だけが小さく灯った、真っ暗なマンションまである。これぞゴーストタウンというムードに包まれる〉

ほとんど灯りが点いていない貴陽市の「西南上城」(筆者撮影)

「チャイニーズドリーム」が崩れようとしている

〈「景気は悪いです。不動産価格も下がっています。私も一昨年にマンションを購入したばかりですが、もう1割以上は下がりました」

 貴陽市のベンチャー企業で働くWさん(30代、男性)は嘆いた。もともと上海市で働いていたが、成り上がりを目指すベンチャーに賭けたいと移住してきた。上海市では手が出なかったマンションが安価で手に入ることも魅力の一つだったという。ところが購入するやいなや、不動産危機が始まった。北京市や上海市の不動産価格は1割も下がっていない。二線都市(註:一線都市は北京、上海、広州、深圳の4都市。これに続く第二グループの都市群を指し、2023年現在は31都市が存在する)では2割弱は下がっているところが多いという〉