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阪神・伊藤隼太が矢野2軍監督に学んだ「失敗のすすめ」

文春野球コラム オープン戦2018

2018/03/25
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「なぁ、阪神って全然勝ってへんのちゃう?」

「キャンプはいい、いいって聞いてたけど大丈夫なん?」

 オープン戦も終盤に入り、関西ではこのような声も聞こえています。

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 私からすると「もううるさいなぁ~黙ってみといてー!」といったところ。

 関西でフリーアナウンサーとして活動し始めて4年目。それと同時に大阪・MBSラジオの阪神タイガースのリポーターを務めて4シーズン目に入ります。金本監督が就任した2016シーズンからは“超変革”というスローガンのもと、若手選手を積極起用。鳴尾浜でも甲子園でも、若虎たちが必死に争っている姿をみてきました。今思い返せば2016年の開幕スタメンは1番にこの年のルーキー高山、2番に当時高卒3年目の横田という大変革のオーダーでした。

 金本監督2年目の2017年も、“挑む”というスローガンのもと、シーズン途中にルーキーの大山を4番に座らせるなど、若虎の積極起用が目を引きました。こうやって振り返ると、金本監督が就任した2年間で若い血が入ったことが伺えます。取材をしていても、年下の選手ばかりになりましたもん……。

今年のスローガンは“執念”

「勝ちに対する執念、打席での執念、マウンド上での執念、守っている時の執念。これを前面に出して来年優勝できるように戦っていきます」

 現役時代、骨折しながらも打席に立ち続けたいかにも金本監督らしいスローガン。11月25日に発表された時には、若虎たちが必死にユニフォームを汚しながらキャンプを送る姿しか頭にありませんでした。

 裏切られた。

 そう思ったのは3月14日のスワローズ戦です。春季キャンプは2軍の高知県安芸で過ごした7年目の伊藤隼太が代打で出場した6回に1塁ベースに向かってヘッドスライディングをしたんです。立場上アピールが必要なのは十二分に理解できますが、今年29歳を迎えようというプロ野球選手が、オープン戦でですよ、野手と交錯し泥だらけになっているんです。

3月16日の楽天とのオープン戦でヒットを放った伊藤隼太

 中学時代ソフトボール部に所属していた私。「とりあえず姿勢を見せておこう」と、どう見ても内野ゴロなのに毎回ヘッドスライディングをしていたのとはどう見ても違うんです。ちなみに私は「なんでもヘッスラしたらいいんちゃうぞ!」と監督にすぐにばれました。ヘッドスライディングひとつとっても観ている人には気持ちが伝わるのです。試合後本人は「足がもつれただけと書いておいてください」とヘッドスライディングについては笑いましたが、「自分より若い選手が出ているのでチャンスは限られているので……“超積極”は続けていきたいです」。

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