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ロッテ・清水直行が語る「忘れられない2005年の開幕戦」

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/03/30
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開幕戦は143分の1ではない

 引退後はニュージーランドに渡り、野球普及に努めた。そして昨オフ、トレードになった09年以来となる愛着のあるピンストライプのユニフォームに袖を通した。コーチとして迎える初めての開幕戦。マウンドには09年に千葉マリンスタジアムで投げ合った涌井を信頼して送り出す。

「09年の涌井との開幕戦も懐かしいなあ。いきさつは忘れたけど、大輔(松坂)と開幕前に話す機会があって『後輩(横浜高校とライオンズ)に開幕の厳しさを教えてやってください』と言われた。で、結局、負けたのはオレやった。それも今は懐かしい想い出やなあ」

清水直行 ©文藝春秋

 開幕戦を143分の1と言う人はいる。でも開幕投手を4度務めた男が熱く語る話を聞いていると、やはりそうではないような気がする。この男の胸の中には勝っても負けても人生に4度あったその日の記憶や情景は鮮明に残っている。貴重な経験を積み重ねてきた男は緊張する選手がいると次のように声をかける。

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「いいかあ。スコアボードを見てみろ。今から早ければ2時間半後。遅くても3時間過ぎたころにはあそこに数字が並び、結果が出ている。あっという間の出来事や。だから深く考え込む必要はない。一つ一つを丁寧に投げるだけだよ」

 千葉の桜は満開となった。今年も開幕戦の日がやってくる。3月30日、ZOZOマリンスタジアムでの楽天イーグルス戦。選手にとっても、井口資仁新監督にとっても、そして新任コーチにとっても忘れられない一日が始まる。この日を待ちわびたファンも、準備を進めてきた職員にとっても大事な一日だ。この先の10年後に思い出したくなるような味わい深い一日にしたい。

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

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