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「壱岐湯本温泉をたくさんの方に知って欲しい」

「30代半ばから婦人科に通っていましたが平熱も低く、『子供はできにくい』と言われていました。先代女将には『跡取りは期待しないで』と伝えましたが、婚約中に『平山旅館』の露天風呂付きの客室に2泊した時に子供を授かりました。寒い日だったのでお湯に出たり入ったりしたのが良かったのかな」と微笑む。その後も41歳で自然妊娠で双子も授かった。公式ホームページには真希子さんと子供3人、先代女将と義理の姉と子供たちの写真が掲載されている。

平山旅館

 現在は3人の子育てをしながら「壱岐湯本温泉をたくさんの方に知って欲しい」とPRに邁進中だ。真希子さんの哲学「PRは『点』を『面』にしていくのが最も大切」を実践している。

 まず温泉ソムリエ認定講習を2回、壱岐で実施し、湯本温泉の温泉ソムリエが解説できる強みを得た。

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 温泉に関わりなくとも住民に温泉ガイド講習をし、島民も理解する場を設けた。神社が多い壱岐の宮司に温泉と神の歴史を語ってもらい、島外の雑誌などに記事として掲載した。さらに湯本温泉入りの化粧水やハンドクリームなどのお土産品を開発している。

新鮮で旬な魚も大人気

 これからは壱岐で「魔法の湯の力」と呼ばれる所以となったエピソード集を制作する。

 例えば、杖2本をついて来た透析をしている82歳のお客さんが、滞在10日目に杖が1本取れ、12日目には尿が出た。もちろん湯本温泉で子供に恵まれたお客さんは数知れない。

「温泉の成分と地域の伝説、地元の人が口コミで伝える『魔法の湯の力』といった『点』を、『壱岐湯本温泉』という傘のもとにまとめて『面』として島内外に発信しています」と、真希子さんの表情には自信がみなぎっている。

撮影=山崎まゆみ

「平山旅館」は開湯1500年の湯本温泉発祥の地。鉄分と塩分を含む濃厚なお湯は赤茶色でとにかく温まる。ご主人が釣ってきたばかりの旬の魚が名物。真希子さんも温まった露天風呂付客室「月」がおすすめ。

INFORMATION

平山旅館

長崎県壱岐市勝本町立石西触77番地
TEL:0920-43-0016
ナトリウム塩化物泉 客室数 8部屋 ※昨年作ったばかりの離れの湯治宿1棟
スタッフ数 20人