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額が大幅に減るだけではなく、受給開始したらiDeCoも続けられない…「早死にしたら損するから早めにもらいたい」という年金の"勘違い"

source : 提携メディア

genre : ライフ, 経済, ライフスタイル, 社会

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遺族年金もまたかなり手厚い保障です。たとえば、夫30歳、妻30歳で3歳と1歳の子どもがいる家庭で、夫が亡くなった場合、遺族年金はいくらもらえると思いますか? 若くして亡くなると保険料をあまり納めていません。それでも妻は、65歳になるまで総額で5000万円以上の遺族年金が受け取れます。これだけあれば、夫が高額な生命保険に入っていなくても、遺された家族は新しい生活に踏み出せるのではないでしょうか。

「年金は貯蓄」という勘違いがあなたの年金額を減らす

公的年金を「貯蓄」と思い込んでいると、「いつ死ぬかわからないから、早くもらったほうが得だ」という発想になってしまいます。

その誤解こそが、年金を減らしてしまう原因です。

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公的年金受給開始年齢は原則65歳ですが、希望すれば60歳から75歳までの間で受け取り始める年齢を自由に選ぶことができます。65歳より前にもらい始めることを「繰り上げ受給」、66歳以降にもらい始めることを「繰り下げ受給」といいます。

「早く受け取ったほうが安心だ」と思っている人は、繰り上げ受給を選んでしまうかもしれません。繰り上げ受給は、年金が早くもらえる分、よくない条件がついてきます。それは、年金額が減額されること。その減額率は、法改正によって1カ月あたり0.5%から0.4%に縮小されましたが、それでも60歳まで繰り上げると24%も減ってしまいます。そして、この減額率は一生変わりません。

繰り上げ受給は長生きするほど後悔する

繰り上げ受給には、減額以外にもいくつかデメリットがあります。

たとえば、繰り上げ請求日以降に病気やケガが悪化し障害が重くなっても、障害基礎年金をもらうことができなくなります。また65歳になるまでは、遺族厚生年金などほかの公的年金を一緒にもらうことができません。したがって、繰り上げ受給中に配偶者が亡くなると、減額された自分の年金か遺族年金かどちらかひとつを選ぶことになります。