かつては1銘柄が100万円単位であったりと、参入ハードルの高かった株式取引。それだけに「お金持ちしかできない」と、投資を敬遠する人は珍しくない。しかし、その考えは大間違いだと、家計再生コンサルタントの横山光昭氏は説く。

「投資から貯蓄へ」が推進される社会においていったいどのように投資を始めればよいのか。ここでは、同氏の『定年後でも間に合うつみたて投資』(角川新書)の一部を抜粋し、定年後から投資を始めるメリットについて紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

写真はイメージ ©️AFLO

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投資は定年後からでも大丈夫

 いよいよ具体的な「つみたて投資」の話をしていきます。

 年金のルールなどを見ていると、「人生100年時代」を想定したものになってきています。投資についても、60歳から始めて80歳くらいまで運用を続けていたら、リターンはまず間違いなく出ると言っていいでしょう。100歳まで生きることを視野に入れたら、60歳前後に始めるのは決して遅くはないと言えます。

主な年齢の平均余命

 昔の感覚からすると、投資は少し怖いところがありましたが、今はもう環境が整っています。つみたて投資にしろiDeCoにしろ、インデックスファンドでコストも安いし、100円単位で買えるという万全の状態になっています。

 株式投資のことになりますが、昔は取引も1銘柄で100万円単位だったりしてハードルが高く、お金持ちしか買うことができませんでした。

 退職金だけでは老後の生活に足りないと思い、何とかしなくてはと焦ってうまい儲け話に乗せられ、一括で投資に回して失敗するような人もかつてはいました。

 今は、方法も確立し、制度もしっかりしていて、いい商品がたくさんあります。「貯蓄から投資へ」と国が推奨しているほどで、投資の環境が昔とはまったく違っているのです。

「お金持ちじゃないと投資できない」は大間違い

 今の時代、お金持ちじゃないと投資できないという考えは、大間違いです。

 岸田文雄総理が2022年5月上旬、英国ロンドン・シティの講演で「資産所得倍増プラン」を打ち上げました。すると、「今の時代に投資ができる人なんて限られている。お金のある人しかできない」というようなことをSNSで言い回っている人たちがいました。岸田総理の肩を持つわけではありませんが、これはおかしいなと思いました。

 私が言っている投資もそうですが、岸田総理が言っているのは、もともとお金がなくてもできる投資のことです。月々でうまくやりくりして、3千円でも5千円でも、1万円でも長期間運用していくことを目指しています。また、比較的余裕があってすぐ使わないのに全部キャッシュで持っている人もいるので、そういう人は少しずつ投資をしてはどうかという話にすぎません。