1ページ目から読む
2/3ページ目

 その上で、例えば「少額ずつでも20年つみたてたらこうなりますよ」ということを言っているのに、投資を十把ひとからげにして、金持ちの道楽だとかギャンブルだとか、そういう偏った見方をするべきではないと思います。一部の投資に、ギャンブルのような古い投資のイメージが消えないせいか、まだまだ多くの人にそういうアレルギーが残っているようですね。

 しかし、そうした古い考え方が結果的に損を招くことになっていきます。

 やらないで生きていけるのならいいのですが、今やらないと、多くの人がおそらく将来的に厳しい生活を送ることになると思うのです。例えば、病気やケガで長期間働けなくなる、あるいは家のリフォームが必要だということになったら、今の収入も確保できなくなり、貯金も取り崩してしまい、例えば75歳で資産を全部使い切ってしまうようなことになりかねません。その資産を少しでも80歳、90歳と先に延ばす手段を取っておこうというだけの話です。

ADVERTISEMENT

写真はイメージ ©️AFLO

 投資だったら何でもいいわけではなく、生きるためのお金を作ることが目的です。低金利でずっと変わらない銀行預金よりも、少し回せば増えていく可能性が高いのがつみたて投資。今、これをやらないのは損ですよ、ということなのです。

投資にはαタイプとβタイプの2種類がある

 投資は、αとβの二つのタイプに大別することができます。

「知識がないとできない、個人差が出るもの」がαタイプです。うまくいく人は短期間の運用で儲かるのですが、そうではない人も出てしまいます。これには個別株やFX(外国為替)、CFD(差金決済取引)、不動産投資などの商品が挙げられます。銘柄・タイミング・商品選びなどによって、うまくいく・いかないの差が大きく出る上に、成果も不確実です。

 例えば、CPI(消費者物価指数)がどうだとか、FOMC(米連邦公開市場委員会)がどうしたなどと投資関連の情報が報道されますが、いくらそれを知っていたとしても、あるいは株価や決算をじっくり追っていても、それで勝てるというものではありません。

 デイトレードが仕事だと言って、短期間で取引を完結させて稼いでいる人もごく一部に見られますが、そうなりたいかというと、ほとんどの人は思っていないはずです。そう考えたら、普通に働き、残ったお金でやっていくのが一番いいと思います。

 これに対して、「形を作ってしまえば、長期的に見るとある程度うまくいくもの」がβタイプです。いったん決めた後は、焦らず時間をかけて、果実がなるのを待つというやり方です。投資信託の他、ETFなどがあります。株式市場全体の上昇を利用するので、無難な成果が誰にも見込めます。極端に言えば、βタイプはある程度の知識があれば、もしくはやりながら学び、一度形を作ってしまえばできるものです。