ゼロ金利政策を採用している日本では、銀行に預金を定期で預けたとしても金利は年率で0.002%ほど。つまり、100万円を1年間預けたとしても、20円しか増えない計算だ。社会的な不安定要素や将来への不透明感が高まっているなか、どうすれば資産を増やすことができるのだろうか。
ここでは、家計再生コンサルタントとして活動する横山光昭氏の著書『定年後でも間に合うつみたて投資』(角川新書)の一部を抜粋。老後に備える資産形成の方法について紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)
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お金を貯める三つの方法とは
お金を貯めるためには三つの方法があります。
「収入」を上げることと、「支出」のコントロール。そして三番目に「投資」です。 三つのうち、どこが強いか弱いかは、意外と意識できていないかもしれません。現状で自分はこのうちどれがきちんとできていて、どれができていないかを三つ並べて考えてみることが大切です。収入面が非常によくても、その分使ってしまっていたら、貯金もないので投資もできない、といったことも考えられます。収入を上げることばかりに意識が行ってしまい、支出を意識しないという人もいます。
その逆に、高い収入がなくても、支出のコントロールがうまい人。結果として差分がしっかりと出て、貯金ができている人もいます。こういう人にはすぐに投資を始めることをお勧めします。
支出のコントロールができる人は、働くことや投資にも意識が行くでしょう。これからを変えていくことを考えると、支出のコントロールが重要な役割を担っていると思います。
収入に対する投資額の割合に、何か黄金比的なものがあるのかとよく聞かれます。
収入の6分の1を貯金に回すことを私はお勧めしています。収入があったら、まずは貯金を最優先し、その一部を投資に回します。収入から支出を引いた残りを貯金するということではありません。30万円の収入があったら、先に6分の1の5万円を抜き出して貯蓄に回し、残りの
25万円で生活するということになります。
貯金だけでは資産が目減りしてしまう
定年期の人たちの中には、1千万円くらいの貯金を持っている人もいます。現金として持つのは生活防衛資金となる生活費1年分の360万円ほどで十分で、それ以上はインフレなどへの対策、将来の資金づくりとして投資に回していくのが理想的なのですが、できていません。それだけでなく、毎月貯金に回すお金の全部を投資に全振りしても構わない状態なのに、まだ貯金を増やそうとする。そういう人に自信をつけ、投資に目を向けてもらうには時間がかかります。